新たなICF-5900の修理記事と感度測定データーを追加しました。2005.09.25

1) ICF5900 Back to Life Project へようこそ。
昔、バイトでためたお金をはたいて購入した5900、最近になってオークションでやっと落札した5900、皆さんの5900の調子はいかがですか?。経年変化で感度低下が生じているもの、素人調整により、収拾がつかなくなってしまったものなど、修理・再調整をし、生き返らせるのが目的のページです。
オークションでサービスマニュアル付きの5900が多数出品されており、これを購入したマニアの方も多いと思います。サービスマニュアルどおりに調整してスプレッドダイアルの左右の感度差は解消されましたか?たぶんアンバランスのままだと思います。どうしてなのでしょうか、どのように調整すればよいのでしょうか。。。私がこのページを作ろうと思ったのは、サービスマニュアルどおりに調整しても、スプレッドダイアルの左右の感度差が解消されなかったからです。

2) チェックのしかた
2-1) 5900のチェックその1:スプレッドダイアルの左右の感度差チェック

先ずはスプレッドダイアルの感度差チェックを行ないましょう。私の5900は調子が良いと思われる方も一度チェックしてみてください。
チェックの仕方は、5900内部で発振している第2局発(約10.7MHz+455KHz)の高調波を受信し、そのレベルを確認することで判断します。スプレッドダイアルをセンターに合わせた時には第二高調波は約22.3MHzのところに出ます。先ずはこの電波を拾ってみましょう。かなり強力に出ているため、メーターの針が9あたりまで振れるかもしれません。AM SENSのスイッチをLOCAL側に倒しておきましょう。
・左の写真がスプレッドダイアルをセンターに固定し、メインダイアルで22.3MHzあたりを受信したときの様子です。なお、この電波(CW)には変調がかかっていませんのでメーターの針が振れたときサーッという音が小さく聞こえます。メインダイアルスケールがずれている場合には22.3MHzからずれますので、メインダイアルを少し回してみてください。また、スプレッドダイアルを反時計方向に回すと、このCWは高いほうにずれ、時計方向に回すと低いほうにずれます。

・次にスプレッドダイアルを反時計方向に目いっぱい回した状態にし、メインダイアルで23MHzあたりを探ってゆくと、メーターが振れるところがあります。このときのメーターの最大値はどれぐらいでしょうか?AM SENSがDXになっていると針は大きく振れますが、LOCALにした場合でも5以上は振れると思います。5以下の場合は感度が低下(調整がずれている)可能性があります。

・次にスプレッドダイアルを時計方向にいっぱい回した状態で、メインダイアルを操作し、22MHz辺りに出ている第2高調波をつかまえます。このときのメーターの振れ具合はいかがですか?ほとんど針が触れない場合にはSENSをDX側に倒してみてください。少しは振れますでしょうか?正常な場合はこの写真のように5〜6辺りまで振れます。すなわち、スプレッドダイアルの左右で感度差にばらつきが生じていません。5900は経年変化により、スプレッドを時計方向(+方向)に回したときの感度が極端に落ちるようです。

2-2) 5900のチェックその2:マーカーのチェック
ここからのチェックには信号発生器(SG)やカウンターが必要になることがあります。5900のメインフィーチャーである10KHz直読を可能にしているのがマーカーとスプレッドダイアルです。マーカーが発振していることを先ずは確認します。X-TAL MARKERをONにし、メインダイアルを回してゆくと、一定の間隔で発信音が受信できます。各バンドとも、この発振音が受信できますか。相対的にSW3のほうがSW1よりも音が小さく、メーターの振れも小さくなる傾向があります。
次にマーカーとスプレッドダイアルのセンターが合っているかどうかの確認です。スプレッドダイアルをセンター(0の位置)に合わせ、マーカーをONにします。メインダイアルを操作して7MHz(7MHzでなくてもOKです)の信号を受信します。ダイアル目盛りがちょうど7MHzぴったりで受信できないときには一番近いところで受信できるところにあわせます(メインダイアルを回してゆくとピーっという音が聞こえ、さらに微妙にダイアルを操作すると周波数が低くなるところがあります。周波数が一番低くなるようにあわせます)。この状態でマーカーをOFFにし、アンテナ端子にSGから7MHzの信号(400Hz、30%変調のAM信号)を加えます。スピーカーからプーっという400Hzの音声が聞こえるでしょうか。聞こえないときには信号発生器のキャリア周波数をずらして行きます。音が一番よく聞こえる(メーターの針が一番よく振れる)周波数がみつかれば、その周波数と7MHzとの差がマーカーとスプレッドダイアルとのずれを示します。たとえばSGが7.05MHzで同調したとすると、0.05MHz、すなわち50kHzのずれがあるということです。なお、このずれが250KHz以上に及ぶ場合には250KHzを差し引いた値がずれの値です(たとえば7,32MHzで同調したときには、320KHz-250KHz=70KHzがスプレッドダイアルのすれということになります。フィルムダイアルがずれていると、このようなことが起こります)。正しく調整されていればずれは2〜3KHz程度以内です。

2-3) 5900のチェックその3:スプレッドダイアルの可変範囲チェック
スプレッドダイアルの可変範囲が正確に±150KHzになっていない場合にはスプレッドダイアルによる直読が不可能になりますのでチェックしましょう。可変範囲を知るには、先ず、スプレッドをセンター(0の位置)にした状態でSGから任意の周波数のAM信号(400Hz、30%変調のAM信号)を加えます。たとえば7MHzのAM変調信号。次にスプレッドダイアルを左(右)目いっぱいに回しきった状態にし、SGのキャリアをすらして行き受信信号が最大になるSGの周波数を読みます。このときのSGの読みが7MHZに対して±150KHzとなっているでしょうか。2〜3KHz以内のずれに収まっているのが望ましいです。

2-4) 5900のチェックその4:ダイアルスケールのずれチェック
放送を受信したとき、受信周波数どおりにダイアルスケールが合っているかどうかの確認です。各バンド(SW1〜SW3)の上限と下限(たとえばSW1であれば4MHz、10MHz)の信号を信号発生器(SG)で発生させ、これを受信したときのダイアルスケールの誤差を確認します。合っているようなら、真ん中辺り(たとえばSW1であれば7MHz)のずれも確認します。各周波数で目盛りがぴたりと合うことはまれで、調整で追い込んでも目盛りの幅程度ずれる周波数があります。この程度のずれは5900では限界と思われます。実使用にあっては、マーカーを併用するため、このずれは大きな問題ではありません。

3) 5900の動作原理
ICF-5900のブロック図を下記に示します。なお、このブロック図は短波(SW)を受信する場合に信号の流れがわかりやすいように限定して書いています。また、調整すべき箇所と調整項目も記入しました。サービスマニュアルをお持ちの方は併用するとわかりやすいと思います。図中のIFT2やCF1などのリファレンス番号はサービスマニュアルを踏襲しました。


7MHzに放送局があると仮定して信号がどのようにして選局されるかを下記に示します。上のブロック図と併用するとわかりやすいと思います。



4) サービスマニュアルに基づく調整方法
ICF-5900サービスマニュアルの調整の部分を引用して下記に示します。戻る場合にはブラウザの「戻る」ボタンを使用してください。
@:このページにはIFT3の調整、BFO調整がふくまれます。
A:このページには第2局発調整、マーカー調整、第1周波数混合器調整がふくまれます
B:このページには周波数目盛調整、トラッキング調整がふくまれます。

今回の調整に用いたICF5900はオークションで落札したもので、出品者のコメントに、「埃だらけ、動作確認未」とあるものでした。シリアル番号は89799です。電池を入れると何とか動作しているようなので特性を測りました。感度が大幅に低下しています。セットを分解し、サービスマニュアルにのっとって調整を行ないました。その結果、スプレッドセンターで20dB以上の感度アップが、また、スプレッドダイアルが+150kHzでは40dB以上感度アップしたバンドもありました。測定結果を下図に示します。


・各バンドの上端における感度を測定しています。SW1は約4MHz、SW2は約12MHz、SW3は約20MHzにセットして感度測定を行ないました。ピンクの線が入手時の特性、青色がサービスマニュアルに基づく調整を行なった後の感度です。大幅な感度アップがありました。しかしながら、調整後もスプレッドダイアルの左右(+150KHz側と-150KHz側)における感度差は依然としてあり、無視できないレベルです。

5) サービスマニュアルに基づく調整方法の問題点

サービスマニュアルに記載している調整方法は、各素子の特性が設計値どおりであるという前提に基づいているため、経年変化でフィルターの特性等がずれてしまっている場合には調整で追い込めないことになります。

・5900メイン基板の写真を示します。シールドケースに貼付されているシールの色は青色です。これは、本機で使用されている10.7MHzの広帯域セラミックフィルターのセンター周波数が10.67MHzであるということを示しています。したがって、第2局発調整やIFT2の調整は10.67MHzをセンター周波数として調整を進めることになります。では、このように調整した場合、どのような特性に仕上がっているのでしょうか。


・これは10.7MHzのフィルター(IFT2からCF2まで)の総合特性(調整前)です。10.67MHz辺りにピークがありますが、ピークを中心として左右対称の形にはなっていません。この形はとりもなおさず、スプレッドダイアルを+方向に回して行くと急激に感度が落ちることを物語っています。


・サービスマニュアルにしたがって調整した後の波形です。かなり広帯域の特性になっています。ただし、IFT2を調整する際は感度が最大になるよう調整するようにとマニュアルに記載しているためこのようにやはり10.67MHz近辺でピークを持った形となり、左右のバランスはよいとはいえません。バランスの取れた特性に仕上げるにはどのようにすればよいのでしょうか。

6) フィルターの特性に合わせた調整方法

上記のフィルターの特性の写真を見てもわかるように、フィルターのセンター値は10.67MHzではなく、もっと高いほうにずれているようです。セラミックフィルター(CF1、CF2)の帯域が経年変化で高いほうにずれたと解釈するのが理にかなっていると思うのですが、セラミックフィルターってずれるもんなのでしょうか?
さて、調整方法ですが、サービスマニュアルとは順序をかえて、先ず、フィルターの特性を測り、そこから中心周波数を割り出し、その周波数を基準に調整を進めることにします。

・IFT2を調整した後のFT2からCF2までの総合特性です。上記の写真と比べ、通過帯域が平坦になっています。フィルターのセンター値は10.76MHz辺りにあります。これは青色シールが示す10.67MHzより100KHzも高いほうにずれていることになります。したがって、各調整はIFセンターが10.76MHzという前提で行なうことにします。


・これは455KHzフィルター:IFT3の特性(入手時、調整前)です。一応455KHzのバンドパス特性にはなっていますがちょっと形が崩れています。


・調整後の特性です。IFT3にはコアが2箇所あるので、両方のコアを回しながらバランスをとります。455KHzよりも少し高めですが、こんなもんでしょうか。


・さて、以上の前調整を経た後、IF中心周波数を10.76MHzと仮定して、調整した場合の感度差のグラフです。ピンクが入手時、青がサービスマニュアルに基づく調整方法によるもの(既出のグラフと同じ)、赤が今回の調整の結果です。青と赤を比べると、スプレッドダイアルのセンターでの感度はほとんど同じですが、スプレッドを回したときの左右の感度差に関しては赤のバランスがよくなっているのがわかります。グラフから、SW2のバンドの感度が他のバンドに比べ相対的に高いことがわかります。5900は何台か測定しましたがこの傾向は変わらないようです。


・今回の調整、測定に用いた測定器類は@スイープジェネレーター(455KHzおよび10.7MHzをスイープできるもの)、A信号発生器(中波、短波帯)、B周波数カウンター、Cオシロスコープです。


・以下はICF-5900の修理・調整の記録です。

その3) 3台まとめて調整・感度測定(2007.01.07)

・少し時間がとれたので、手持ちの3台の感度調整をすることにしました。これらは以前ヤフオクで購入、簡単な動作チェックの結果、5900特有の同調ズレであることがわかり、再調整の機会を長年待っていたものです。3台まとめて調整することにより、セット間のばらつきも確認しやすく、調整の効率もぐっと上がります。


・再調整前に現状の感度を測定してみました。信号発生器(SG)から1kHzの信号をAM変調し、ICF-5900の外部アンテナ端子に供給します。Y軸の値は信号発生器の出力レベル、横軸はバンドスプレッドダイアルの目盛り(KHz)です。チューニングメーターの針が5を示すときのSGの出力レベルをプロットしてゆきます。図を見てわかるように、どのセットもプラス側にスプレッドダイアルを回すと感度が悪くなっています。これは他の5900に関しても同様の傾向をしめします。左右端の感度差が20dB程度あり(セットAはその差がもっと開いている)これでは快適な受信を楽しめません。


・リアカバーをはずしたところです。3台とも赤色のシールが貼付されているところを見ると、これらのIF周波数のセンターは10.7MHzだということになります。これら3台のうち2台はオリジナルのままですが、左下の1台は手を加えたれた後があります。むやみに調整されたものでなければよいのですが。


・ユニットを取り出したところです。


・調整の前に現状の特性を見てみることにします。3台ともほぼ同じような特性になっています。左図は10.5MHzあたりから10.9MHzあたりまでのスイープ信号です。この信号を加えることにより、第1IF回路の周波数特性がわかります。この特性を見るとピークはほぼ10.7MHzにあり、赤色のシールが示す周波数と一致しています。ところが波形が対称ではありません。本来なら10.7MHzを中心に左右に150kHzの帯域が確保できていなければなりません。


・コアを再調整しました。これで平坦な特性になりましたが、センター周波数は10.7MHzからはずれた値になっています。左図の場合のセンターは10.8MHz程度でしょうか(これはセットCの特性です)。以降は、第1IFの中心周波数を10.8MHzとしてバンドスプレッドダイアルの可変範囲、その他を調整してゆきます。セットA, B, Cでこのセンター値が微妙に異なっているのでセットA, Bではその周波数にあわせた調整をします。


・再調整した後のバンドスプレッドダイアルの各目盛りにおける感度です。3台ともほとんど同じ特性になりました。セット間で少し差がありますが、これはチューニングメーターのばらつきもあると思います。チューニングメーターの針が5を示すときのSGの信号レベルを測定していますが、同じ電圧でも良く振れるメーターとそうでないメーターがありそうです(大きな差ではありませんが)。もっと正確に比較しようとするならばメーターの指示ではなく、イヤフォンジャックからの信号でS/Nを測定した、とえばS/N=10dBとなるSG信号レベルをプロットすればさらに正確に相対比較が出来ます。いつか時間がとれたときにまた、チャレンジしてみます。今回の測定では、同じように調整することにより、各バンドとも、左右の感度差はほとんどばらつきがなくなることがわかりました。

その2) メーター不動、X-talマーカー不動、BFOが機能しないICF5900(2005.09.25)

・かなり外観の良い5900ですが、Sメーターが不動、X-talマーカーも不動、BFO回路も動作していないようです。一応AM,SW,FMともに受信は可能です。ただし、SWバンドスプレッドダイアルを+方向に回すと感度が急激に落ちているのがわかります。


・内部の写真です。特にいじられた形跡はありません。青いシールが貼付されているので、第1IF周波数の中心は10.67MHzのはずです。のはずですと書いたのは、製造直後ならともかく、何十年も経過しており、このシールは当てにならないからです。正確に調整するには、上記の方法により測定し、IF中心周波数がどの辺りにあるのか見つけ出さなければなりません。このラジオの場合は10.75MHzあたりに中心が移動していることがわかりました。シールが示している周波数の10.67MHzと比べると80kHz高いほうにずれたことになります。したがって、この5900の中間周波数は10.75MHzとして、総合調整を行いました。


・不動のメーターの修理です。幸い、このメータは断線しておらず、ピボット部分が固くなっているだけでした。調整ネジを緩めることにより、無事、動作するようになりました。メーターが動くようになってみると、X-talマーカーは動作していることが判明しました。BFO回路が動作していないためにピーッという音が聞こえず、メーターが動作しない状況下での早とちりでした。メーターが振れるようになったので、ボリュームを上げてよく聞くと、マーカーの各ポイントでキャリア(無変調波)が出ているのが確認できました。


・BFOが動作しない原因は、BFO回路に電源を供給する回路に入っている470uHのインダクターが断線していたためでした。断線の原因は不明です。特に電流が流れるところでもないため、部品の単品不良でしょう。


・捨てる予定の故障したVTRから同じ値のインダクターを見つけて置き換えることにしました。形状が異なりますがこちらのほうが電流容量が大きいので、まあ、よしとしましょう。


・スプレッドダイアルを左右に回したときの感度差を、入手時と、調整後にそれぞれ測定してみました。調整前は+150kHz端ではセンターに比べて45dB程度ゲインが落ちていることがわかります。これでは実用になりません。調整後は左右のバランスがとれ、センターに対しても10dB以内のゲイン低下に収まっています。実使用では感度差は気にならないレベルです。


その1) オークションで落札したきれいな外観のICF5900(2005.02.05)
きれいな外観であるが、まともに動作しないという出品者のコメントつきの5900を落札した。ロッドアンテナ正常、ソニーバッジその他のプレートも付いている、ライトも点灯する、という代物で、なかなかの美品であった。電源を入れると、ボコッという音がするので、スピーカーおよびアンプブロックは動作しているであろうと見当をつける。ラジオを受信しないのでバンド切り替えスイッチ、マーカースイッチを何度も切り替える。そのうち音が出るようになってきた。スイッチの接触不良が原因であった。ただ、メーターが動かない。メーターが動かない場合の原因は、コイルの断線かメーターのピボット(軸受け)の部分が硬くなっているためであることが多い。また、スプレッドダイアルを+方向に回すと感度が急激に悪くなっている。5900の経年変化で起こる持病である。基板を取り出し修理・調整が必要である。

・リアカバーをはずしたところ、スピーカーケーブルが延長されている。それも電源ケーブルで、である。ケーブルを延長すると、スピーカーをケースにつけたままの状態で調整・チェックができるため、前の持ち主がこのように改造したのであろう。ただ、このように太いケーブルをつけておく必要はないので、オリジナルに近い太さ、色のケーブルに付け替えることに。


・スピーカー端子の半田付けをとろうとしたところ、片方が簡単にはずれてしまった。端子部分がぼろぼろになってしまっているのである。どうしたらこのようになるのか。よほど長時間熱を加えたのであろう。


・手元にあったラグ端子を付けて、なんとか使えるように。

メーターが振れない原因はピボット部分にあったので、メーターを分解し、ピボットの調節ねじを調整、動くようになった。分解時、プラスチックカバーはボンド付けされているので注意深く開けること。
バンド切り替えやマーカースイッチの接点に関しては接点復活材を使うという手もあるが、これら摺動タイプのスイッチはもともと自己研磨するので、汚れを取り除いておくだけでもOKである。ただし、長期間使用しない場合には、最初のうち、接触が悪い場合もある。


・私が修理時に使用するクリーナー類である。スライドスイッチにはエレクトロニクス・メカクリーナーを吹きかけ、スライドスイッチを何度か動かした後、エアースプレー(エアー・ダスター)でクリーナー液を吹き飛ばす。これを2〜3回繰り返せばスイッチは正常になる。接点復活材は金属表面を保護するが、埃が付きやすくなるので、場所により、使わないほうがよいときもある。

さて、ここから調整に入る。その前に、現状の特性を測定しておく。何台も測定していくうちに5900の傾向がわかるようになる。

・スプレッドダイアルを+方向にまわすと極端に感度が低下しているが、それがどの程度なのか測定した。各バンドで傾向はほぼ同じである。左のグラフは約12MHzを受信したときの特性である。センターに比べ+端で30dB近くゲインが落ちていることがわかる。

調整を始めるにあたり、重要なことは、本機のIF周波数特性がどうなっているかを知ることである。用いられているセラミックフィルタの中心周波数は機種ごとに異なっており10.7MHzとは限らない。目安としてシールドケースに貼られているシールの色があるが、どうも経年変化で周波数がこの値からずれているようである。まずは、現状、どのような帯域特性かを測定する。


・入手時は左図のような特性をしており、ピークはほぼ10.7MHzにあるが、全体としてはアンバランスな格好になっている。このような特性の場合、スプレッドダイアルを+方向に回すと感度が極端に落ちることを示しており、上記の測定データーと一致する。


・まず最初にIFT2のコアを回し、特性がフラットになるように調整する。左図が調整後の写真である。ここから、IF中心周波数を10.79MHzと決める。あとはサービスマニュアルに沿った調整をすればよいのであるが、IFT2は以降はいじらないことである(マニュアルの〔3〕SW第1周波数混合器調整の@〜Bはパスすること)。


・上記の方法で調整したあとの感度特性である。スプレッドダイアルの左右端における感度差が解消されている。これで快適に受信できるようになった。


・調整を終えたICF-5900。今回の修理・調整はこれで終わりです。



・以下には今回の調整とは関係ありませんが、5900に関して質問をいただいた項目に関して載せてゆく予定です。

1.セットのばらし方(スプレッドダイアルのはずしかた)
基板を本体から取り出すには、前面パネルのつまみを全て抜き去った後、スプレッドダイアルを取り外す必要があります。この取り外し方に関して、どのように取り外せばよいのかという質問が来ましたので、ここに方法を示します。


メールはjnkei@yahoo.co.jpまで

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