このページでは主に1960年代に海外に輸出されたトランジスタラジオのうち、デザインの気に入ったものを載せています。メーカー名がわからないラジオも多く、ご存知の方おられましたら情報お願いいたします。6石トランジスタラジオやボーイズラジオと呼ばれている2石トランジスタが多いですが、他のラジオも載せています。

15. TRANS ETTE: MODEL TRN-346B

・Trans ette の3石トランジスタラジオ:MODEL TRN-346Bです。オレンジ色のプラスチックが綺麗なポケットラジオです。006Pで動作します。トランジスタは3石ですが、スーパーヘテロダイン方式のレフレックスラジオで立派にスピーカーを鳴らせます。一般的にボーイズラジオと呼ばれている2石のレフレックスラジオに比べはるかに高感度、高選択度が得られています。

・内部の写真です。


・基板を取り出したところです。


・裏蓋の内側に貼付されている機銘板です。

14. KOWA KT-62

・幸福産業の6石トランジスタラジオ:KT-62です。9Vの積層乾電池006Pで動作します。1960年代に輸出されていたラジオです。


・ボディーの色は何色かあるようです。こちらはワインレッドです。KOWAと書かれた金属プレートがアクセントになっています。


・こちらはスピーカーグリルが金属ネットになっているものです。


・内部の写真です。トランジスタはNEC製の扁平タイプが使用されていることから1960年代の初めか1950年代の終わりごろの生産だと思われます。ケミコンはナショナル製です。当時のラジオに使用されているケミコンは経年変化で容量抜けしているものが多く、カップリングコンデンサの容量抜けのため音が小さかったり出なかったりするラジオが多い中、このラジオはまともに鳴っています。


・こちらは同じくNEC製のトランジスタを使用していますが、丸缶タイプになっており、年代的には上記のものより新しいものです。


・付属の革のケースに入れたところです。


・リアカバーの内側に貼付されている機銘板です。


  13. KOWA TRANSISTOR 6

・KOWAと書かれた菱形のプレートが高級感をかもし出している幸福産業の6石トランジスタラジオです。型名がどこにも書かれていないので不明です。取り外せるロッドアンテナが付属しており、使用しないときには革のケースの内側に収納できるようになっているのが特徴です。

・ロッドアンテナをつけたところです。


・内部の写真です。9Vの積層乾電池006Pで動作します。


・基板を取り出したところです。バリコンとチューニングつまみはプーリーを介して連動しており、減速機構が働くので選局はしやすいです。


・上記に掲載したKOWAのKT-62と並べたところです。どちらも革のケースがしっかりしており、高級感のあるラジオにみえます。


・裏蓋の内側に貼付されているシールですが、ラジオの型名は書かれていません。


12. Car radio: ROLLS ROYCE

・1931年ロールスロイスです。6石トランジスターラジオです。006Pで動作します。車自体、自走はしませんが、タイヤは回転します。なかなか良く出来ています。たぶん1960年代にアメリカに輸出されたものだと思います。もう少し年代が後になると、プラスチックを多用した香港製が出回ってきますが、これは日本製で細かい部品まで金属製で、ネジやリベットで固定されています。手に持つとずっしりと重たいです。デスクトップの飾りとしてもなかなか格好の良い置物になります。


・横から見たところです。車内には座席、ハンドルが備えられています。


・後ろから見たところです。ルーフ、ボディー、バンパーは金属製、フェンダー、タイヤ、座席、ハンドルはプラスチックです。


・底部です。底部にスピーカが付いています。また、電池カバーも底部にあります。この部分もプラスチック製です。


・こちら側のスペアタイヤが選局つまみになっています。もう一方のタイヤが電源スイッチ兼ボリュームとなっています。この写真の上部に見えるサイドミラーも金属製で、リベットで固定されています。年代的に新しい香港製ロールスロイスはこのあたりがプラスチックで出来ており、折れやすく、見た目も安っぽいです。


・フロントバンパーの部分を底面から見たところです。鋳物で出来たヘッドライトが小さな6角ナットでバンパーに固定され、バンパーはシャーシにネジ止めされています。丁寧なつくりです。


・ボディーの上半分を取り除いたところです。ラジオのプリント基板がシャーシーフレームに固定されています。


・基板を裏返したところです。こちら側(裏側)にバーアンテナが取り付けられています。したがって、バーアンテナは車体の底部に位置することになり、木製の机に置いた場合には問題なく鳴りますが、金属製の机の上に置くと、受信感度が悪くなり、ノイズの多い音になります。


・ラジオの低周波増幅回路部分です。バリコンやボリュームも見えます。トランジスタは東芝製や日立製、バリコンはミツミ製、結構まともな部品が使われているようです。


・何台か集めると少しずつ違うことに気づきます。このページの下のほうにはフォードT型のカーラジオの写真を載せていますのであわせてご覧ください。


11. BOY'S radio: LLOYD'SとSCEPTRE

・2石レフレックスラジオです。 006Pで動作します。左側がLLOYD'S右側のラジオがSCEPTREとかかれています。名前やボディーカラーは異なりますが、良く見るとまったく同じ金型を用いているようです。着脱式のロッドアンテナが付属していますがほとんど飾りとしかいえない代物です。このラジオもソニーのTR-610のデザインを盗用しているのではないかと思います。

・内部の写真です。同じメーカーで作られたものでしょう。


・それぞれ別名がつけられ、このようなケースに入れられてOEM供給されていました。


10. BOY'S radio: 2 TRANSISTOR RADIO

・イヤフォン専用の2石レフレックスラジオです。 006Pで動作します。2石ですので感度はそれほど良くありませんがイヤフォンで聞くため、スピーカーで聞くよりも弱い局も聞き取りやすいようです。このラジオには機銘板が付いておらず、名前がわかりません。筐体前面上部には2 TRANSISTOR RADIO と書かれています。

・別の角度から見たところです。上部のジャックは外部アンテナ端子、サイドのジャックがイヤフォン用です。かなり小さなラジオです。


・後ろから見たところです。

・内部の写真です。横幅は006Pより少し大きい程度です。

・基板を取り出したところです。小さな筐体内にうまくまとめられていると思います。

9. BOY'S radio: WINDSOR

・2石レフレックスラジオ:WINDSORです。 006Pで動作します。このラジオも周波数が高いところでは感度が低く、小さな音でしか鳴りません。2石だとこんなもんでしょうか。

・こちらはSTARとなっていますが、筐体は同じ金型が用いられているようです。フロント上半分のパネルの色やデザインを変えることにより、いろんなメーカーにOEM供給していた模様です。


・後ろから見たところです。

・内部の写真です。使われている半導体は前段が2SA-100、後段が2SB-172、ゲルマニュームダイオードはMA-51です。

・リアカバーの内側に貼付されている回路図です。2石レフレックスラジオの一般的な回路です。ボリュームは後段のベース側に入っていますが前段の検波後にボリュームを入れ、その出力を再度前段に帰還しているものもあります(このページの6.VITROとCHANPION参照)。

8. BOY'S radio: CAPRIとSUPERTONE

・これもボーイズラジオではありますが、筐体、内部回路どちらも贅沢に作られた2石レフレックスラジオです。Supertone(左)とCapri(右)という具合に名前や色が異なっていますが、同じメーカーの同じ金型で作ったラジオです。きれいにリバースペイントされたチューニングダイアルや、しっかりしたエンブレムが高級感を出しています。


・後ろから見たところです。

・内部の写真です。左右のラジオ間で使用されている部品のメーカーが異なるのは製造時期が異なるからでしょうか。

・部品の拡大写真です。トランジスタやリード部品の足には絶縁スリーブを被せ丁寧な造りです。ゲルマダイオードが2個使用されています。回路図が無いのでどのような使い方をしているのか不明ですが、倍電圧検波をしているのかもしれませんね。

・基板を取り出したところです。

7. BOY'S radio: WINDSORとAUDITION

・これも2石レフレックスラジオです。 006Pで動作します。フロントのスピーカグリル下部に、左側の黒いラジオにはWINDSOR、右側の白いラジオにはAuditionというプレートが貼られています。これらの名前はラジオのOEM相手先の名前でしょうか。同じ名前の付いた異なるタイプのラジオも良く見かけます。


・後ろから見たところです。上部にあるジャックはイヤフォンとアンテナ用です。2石ラジオは感度が低いため、外部アンテナ端子を装備しているものが多いです。ただ、選択度が悪いため、外部アンテナをつけると混信に注意する必要があります。まあ、飾りと思っておいた方がよいでしょう。内蔵アンテナで近距離の局を聞くに限ります。

・内部の写真です。

・リアカバーの内側に貼付されている回路図です。Angelとかかれている所を見ると、同じ筐体でAngelというプレートを貼付したラジオも作っていたのでしょう。

6. BOY'S radio: VITROとCHANPION

・2石レフレックスラジオです。左のラジオにはVITRO、右側のラジオにはCHANPIONというプレートが貼付されています。一般的に勝者の意味で使うチャンピオンのつづりはCHAMPIONなので、印刷ミス??。グリーン色がきれいなラジオではあります。


・後ろから見たところです。どちらも下部にBOY'S RADIOと書かれています。CHANPIONには外部アンテナ端子も備わっています。VITROはイヤフォン端子のみです。

・内部の写真です。当時のボーイズラジオは9Vの積層乾電池:006Pで動作するものが多いです。

・リアカバーの内側に貼付されている回路図です。

5. BOY'S radio: Mercury

・2石レフレックスラジオです。色違いですが、中身も少し異なります。 006Pで動作します。2石ですので感度はそれほど良くありません。特に周波数が高いところでは感度も低く、小さな音でしか鳴りません。低いほうの局では割と大きな音で鳴りますので普通にラジオ放送を聴く分には問題ないとおもいます。


・後ろから見たところです。

・内部の写真です。左側のラジオに使われている半導体は前段がMC102(National)、後段がOC76(National)、ゲルマニュームダイオードはMA51(National)です。右側のラジオに使用されているものは前段がMC101、後段が2SB172(Matsushita)、ダイオードはMA51です。左側のラジオはポリバリコンを使用していますが、右側はエアーバリコンです。

・リアカバーの内側に貼付されている機銘板です。MODEL UTR-25となっています(左側のラジオ)。

4. PERSONNA, CONSTANT, JUPITER

・名前やデザインが異なっていますが、同じメーカーのラジオだと思われます。ダイアルつまみとボリュームが同じ位置についています。また、内部を見ると CONSTANT, JUPITERは同じ基板を用いています。左から順に、PERSONNA: 5T-210, CONSTANT: 6T-160, JUPITER: 6T-220です。


・後ろから見たところです。3つとも大きさは同じです。左右の2つはまったく同じ金型を用いていると思われますが、機種名の刻印のところは入れ子にしているようです。

・革のケースに入れたところです。革のケースがきれいで、丁寧に作られているとラジオまで高級に見えてきます。

・内部の様子です。一番上がPERSONNA: 5T-210です。番号が5から始まっていますが使用されている半導体はトランジスタ4石とダイオード1個です。トランジスタは東芝製の2S52, 2S56などが使われております。東芝の4石トランジスタラジオ5TR-193と同じような回路構成と思われます。4石の割には高感度、音量も十分あります。真ん中と一番下はまったく同じ基板が使われており、6石構成となっております。


3. 8石トランジスタラジオ:Fulton, Robin, LLOYD'S, COMMODORE
・名前やボディーの色は異なっていますが、同じメーカーのラジオだと思われます。左側の2台と右側の2台はケースの金型が異なっており、また、内部の基板も微妙に異なっています。作りやすさを考慮して途中から型変更したのでしょうか。左から順に、Fulton, Robin, LLOYD'S, COMMODOREです。

・革のケースに入れたところです。しっかり作られたケースです。

・後ろから見たところです。スタンドがついており、斜めに立てかけて使うようになっております。このラジオの筐体は十分な厚みがあり、安定して自立しますが、スタンドがついています。このスタンドは仕方なく付けたのではないかと思われます。どうしてかは内部を見るとわかります。

・裏蓋の内部に貼付されている回路図です。ずいぶん贅沢な回路です。局発専用に1石設けているのと、低周波増幅が2段になっております。実はこのラジオ、大変音質がよいので驚きました。ソニーのTR-610などとは比べ物にならないほど良い音が出ます。より低域まで音がのびているような印象を受け、アナウンサーの声も張りがあり、音楽も聞き疲れしない音質で楽しめます。

・内部の写真です。あれっと思われた方も多いと思います。バーアンテナの取り付け方が変なのです。このラジオを立てた状態で使用するとバーアンテナが垂直方向に向くことになり、感度が極端に落ちるのです。ラジオを横向きにして使うのが感度的に理想的ではありますが、少し斜めに傾けるだけでも感度がぐっと上がり実用上問題なく使えます。というわけで、スタンドをつけざるをえなかったのだと思います。左右の写真を見るとバーアンテナの長さや、ポリバリコンの大きさに違いがありますが、部品レイアウトはほぼ同じです。

・このRobin、大変聞きやすい音です。ソニーの同じような大きさのラジオ:TR-86と聞き比べしましたが、後者は大きな音を出すと高音がうるさく聞こえます。そこで、どのようなf特になっているのか測定することにしました。左図がその結果です。一番上がRobin、そのつきが東芝の5TR-193、次がソニーTR-86です。一番下は被変調波で20Hzから20KHzまでのスイープ信号です。この信号でMW帯のキャリアをAM変調し、ラジオで受信し、イヤフォンジャックからの波形をオシロスコープでモニターしています。測定結果を見ると、ソニーは大変帯域を広く取っていることがわかります。大きなスピーカーが付いているラジオの場合は低域も十分再生可能なので低域を延ばし、それに見合うように広域も延ばすことにより、より良質の音質が楽しめるわけですが、小さなトランジスタラジオの場合には低域が出ないため、高域もある程度カットしないとバランスの取れた音になりません。そういう意味では低域も高域もカットしてあるrobinのほうが聞きやすいバランスの取れた音になっているのでしょう。なお、最終的にはスピーカーから出てくる音を聞くことになるので、スピーカーの前面にマイクを設置し、スピーカーの特性も含めた総合的なf特を測定すべきなのですが、自宅の環境下では反射波や周囲のノイズ(騒音)の影響が大きく、まともな波形が得られませんでした。

2. カーラジオ

This is a 1960's radio made in the shape of the old 1917 Ford Model A. It has the dial on one side and the volume on the other. It measures about 7" long and about 5" high. The hood comes off. Turning the front crank reveals the battery compartment. It uses one 9 volt 006P cell.
・なかなかうまく作られたラジオです。大半は金属で作られており、手に持った感じがずっしりと重たいです。ラジオは6石の一般的なスーパーヘテロダイン方式です。




・フードを上げたところです。現在このようなラジオを作るとしたら大半はプラスチックで成型されるのでしょうが、当時のモデルは細かい部分まで金属を加工して作られており、ディスプレイとして飾っても絵になります。



・斜め前から見たところです。ボンネットの中に006Pが入る電池ボックスがあります。



・後ろからの写真です。



・底部です。スピーカーのスリットが開いています。この底面はプラスチックで出来ています。4本のタイヤは自由に回転しますが、自走はしません。



・フロントのクランクを回して取り外し、ボンネットをはずしたところです。006Pが収納されています。



・リアのボンネットをはずしたところです。ボンネットの中に納まるようにバーアンテナが設置されています。バーアンテナの性能が落ちないようにボンネットはプラスチックで出来ています。



・ラジオ部分を取り外したところです。結構まともな音がします。



・色違いで何種類かあるようです。



・主に輸出用だと思います。このような箱に入っていました。


1. Duo-Vox

・石川町のエジソンプラザで2000円で購入したラジオです。フロントパネルにはDuo-Voxとありますが詳しいことはわかりません。リアパネルにはMADE IN JAPANとだけあります。FMの受信範囲が90MHz〜108MHzなので輸出用です。AMは問題なく受信できますが、FMはNHKのテレビしか受信できません。このラジオはポータブルラジオおよびカーラジオとして使用できるように工夫されています。ポータブルラジオとして使用する場合には内蔵した単3乾電池4本が働きます。




・取っ手を持ち上げてラジオを立てた状態。



・内部の写真です。チューニング機構部をアップで撮りました。ミュー同調方式です。



・裏側から見たところです。FMの選曲にもミュー同調方式が採用されています。



・内臓アンテナを伸ばしたところ。



・背面の様子。
車のダッシュボードに差し込んだときには車の方からアンテナ、電源が供給されるようにコネクターが付いている。



メールはjnkei@yahoo.co.jpへ

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