GOLDEN HOUR


ミステリークロックと呼ばれ、今でも人気の高いJefferson社のGolden Hour クロックです。以前、オークションでアメリカから購入したものです。時計の短針と長針が空中に浮いているように見える、デザイン的にも大変優れた時計です。



後方から見たところです。この時計の筐体は24金メッキされた亜鉛ダイカストでできており、どの方向から見ても美しく、ゴールデンアワークロックの名に恥じない時計です。後部の盛り上がった部分に時計駆動用のモーターが入っています。1949年に生産がスタートし、1991年まで約41年間以上にわたりほとんど同じデザインで生産され続けたようです。同じモデルでこれほど長期間にわたり生産された工業製品は珍しいと思います。



底部の蓋を取り去ったところです。商用電源周波数に同期して動くモーターにより、ガラスが回転するようになっています。長針はこのガラスにくっついて回転します。初期の時計はたいていの場合、モーターが交換されています。やはり何十年もの間動き続けることはできないと見えますね。この時計のファンは今でも多く、交換用のパーツはモーターをふくめ今でも小さなメーカーが作っているようです。この時計は1971年製であることが内側に押されたスタンプでわかりました。



下部の台座と上部を分離したところです。左側の台座の内部にモーターで駆動されるギアが見えます。右側の写真には円形ガラスの周囲にはめ込まれたギアが見えます。モーターの回転がこのギアに伝わり、ガラスの板が1時間で1回転する仕組みです。



長針が動くのはわかったが、短針はどのようにして回転してゆくのか。その答えがこの錘つきのギアです。割と小さく、短針の向きによっては隠れてしまうため、前方からは気づきにくいです。錘は常に重力の力で下方に向かおうとするため、その力によって短針が回転します。非常にうまく考えられた時計ですね。



ガラス板に付いている長針と短針をばらしたところです。短針には錘の付いたギアブロックが付いています。これらのパーツも金メッキされており50年以上経過した今も金色に輝いています。



時計部分のパーツのイラストです。このように各部品に番号をつけてレストアマニュアルに交換の仕方や注意が記載されています。



これは1953年に作られた時計の底面の写真です。プラスチックの平面が反射光で光るため、ちょっとわかりづらいですが、動作条件が115V、AC 60 サイクル 2.5W であることがわかります。また、この時期には まだ PATENT PENDING と書かれています。



こちらは1971年製のものです。パテント番号が2642713 と記載されています。消費電力はやはり2.5Wとなっていますが、もっと後期になると消費電力が3Wになっているとのことです。この時計の中に入っているモーターは交換されたものらしく、モーター自身の周囲に消費電力3Wと記載されています。余談ですが、時計の針の中央に蛍光塗料が塗られている(少なくとも私の持っている2つの時計には塗られている)のですが、後期のものはこの塗料が塗布されていません。いつからなくなったのかは不明です。オークション等で入札する際には気をつけて見てみてください。



かなり最近のもののようです。消費電力が3Wに変更されています。パテントの表示はありません。内部を開けるチャンスがなかったので製造年月日がわかりませんでした。



この時計はアメリカでの使用を前提としているため、電源周波数が60Hzである必要があります。したがって、関西など、60Hz地域では電圧が少し落ちるものの実用上問題なく使用できますが、私の住んでいる川崎では50Hzなので1時間に10分の割合で遅れてゆくことになり、全く実用になりません。そこで、関東でも使えるように周波数変換器を作って動作させているところです。


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