このページにはヨーロッパ、その他(アメリカ以外)のラジオを載せています

7. BlaupunktのLido
・ドイツBlaupunktのLido W 95.300です。このラジオは1965年に製造が始まったラジオです。トランジスタを9石用い、LW、MW、FMが受信できます。乾電池は4.5Vの特殊な形状のパックを2個使います。



・後ろから見たところです。


・バッテリーです。本体下部の蓋をはずすと電池交換ができるようになっています。



・バッテリーを装填しようとしているところです。



・音声が極端に小さいので、修理をするために内部を見ているところです。



・本体ブロックをケースから取り外したところです。



・別の方向から見たところです。この写真ではわかりづらいですが、このセットにはプリント基板が何枚も使用されており、配線が複雑です。



・結局、音が小さい原因は出力トランジスタの片方が壊れている(C-E間がショートした状態になっている)のが原因でした。矢印でしめす、ヒートシンクに固定されている2つのトランジスタのうちの1個が壊れていました。



・壊れていたトランジスタはAC117Rで小出力アンプ用に用いられるトランジスタです。手持ちのトランジスタラジオからはずしたトランジスタと交換することにしました。交換後、良い音で鳴るようになりました。


6. Schaub LorenzのTOURING 70
・ドイツSchaub-LorenzのTOURING 70です。このラジオは1966年に製造が始まったラジオです。LW(長波:150-350KHz)、MW(中波:550-1600kHz)、K1(短波:5.85-6.3MHz)、K2(短波:7-15MHz)、UK1/UK2/UK3(FM:それぞれ88-103MHz、UK2/UK3はプリセットチャンネル)が受信できます。単1乾電池5本で動作します。



・上から見たところです。上段の左右端についているのはロッドアンテナです。それ以外のつまみ・プッシュスイッチは左側から、ライトスイッチ(押すことによりダイアルライトが点灯)、AFCスイッチ、K2微調整つまみ(K2バンドは短波帯で7-15MHzをカバーしているため、選局が微妙で、ダイアルつまみではなかなかジャストチューンしづらいです。そこで、このつまみで微調整することにより、短波受信をしやすくしています)、プッシュスイッチTA(外部入力)、プッシュスイッチLW、MW、ANT(これは外部アンテナとの切り替えスイッチです)、K1、K2、UK(このUKスイッチを押したときに右側の丸いプッシュスイッチUK1/UK2/UK3で設定された局が受信できます)。左端のつまみは高音、低音のそれぞれのトーンコントロールつまみ、内側の少し大きな丸いつまみは電源スイッチ兼ボリュームです、これらのつまみの間にあるのはチューニングメーターです。中央にダイアルスケールがありますが、FMとそれ以外(長波・中波・短波)のダイアルスケールが独立しており、ダイアル指針も独立して動きます。右側の大きなつまみは選局つまみでUKのボタンが押されているときにはFMのダイアル指針が動き、LW/MW/K1/K2のどれかのボタンが押されているときには長波・中波・短波のダイアル指針が動くような構造になっています。ちょっと凝った造りですね。


・後ろから見たところです。



・底蓋をはずしたところです。単1乾電池を5本使用するので、大きな音で長時間動作させることが可能です。外部電源(7.5V)でも動作させることが出来ます。



・中身を取り出したところです。このラジオもスピーカーが本体側に固定されているため、筐体からすっぽりはずせます。スピーカーは楕円形のものが用いられています。セットの手前側に見えているのがバーアンテナです。右側には音声出力用のパワートランジスタが見えます。



・シャーシーの右側面から見たところです。ずいぶん大きな出力トランスが付いています。かなり大きな音が出せそうですね。イヤフォンジャック、DIN入出力端子、外部DC入力端子も付いています。



・左側面から見たところです。長波・中波・短波は2連バリコンで選局を行っていますが、FMはバリキャップによる電子選局です。バリキャップには通常かなり高い電圧(15V〜30V程度)を印加する必要があるため、このラジオもDC/DCコンバーターで昇圧しています。そのためのモジュールが見えます。発振ノイズが外部に漏れないように厳重にシールドされたケースに入っています。



・内部が見えるようにスピーカーをはずしたところです。ダイアル照明用のランプが2個付いていますが1個はランプホルダーが破損しています。



・セットをひっくり返して撮影しました。大きな1枚基板で筐体が占められています。裏づけ部品が殆ど無いのはすばらしいです。日本製の当時のラジオは裏付け部品と裏付け配線でパタンがほとんど見えなくなっているものもたくさんある中、この様にすっきりしているのはさすがです。



・このセットはBASSのつまみがぐるぐると回転し、コントロールが全く利かなかったのでよく見たところ、ボリュームの軸だけ残して摺動抵抗の部分が取り払われています。ボリュームが壊れたので以前の持ち主が取り外してしまったのでしょう。ちょっと残念ですね。


5. STERN RADIOのAUTOMATIC R140
・西ドイツのStern-Radio Berlin, VEB, RFTで作られたトランジスタラジオ:Stern Automatic R 140です。このラジオは1970年ごろに製造されていたラジオです。使用されているトランジスタは12石。Automaticと謳っていますがこれはFM局が3局プリセットでき、瞬時に選べる機能のことを言っているのでしょう。今の感覚からすると当たり前の機能のようですが、当時は複数局をプリセットしておき瞬時に選べる機能は謳い文句になったのでしょう。受信バンドは長波1バンド(150〜285 kHz)、中波1バンド(540〜1600 kHz)、短波1バンド(5,9〜7,4 MHz)、FM1バンド(88〜100 MHz)(3局プリセット可能)。単2乾電池6本で動作します。



・上から見たところです。上段のつまみ、スイッチ類は左側から、高音、低音のそれぞれのボリュームつまみ、続いてプッシュスイッチがならびますが、AFC、L(長波)、M(中波)、K(短波)、FMとそれ以外を切り替えるスイッチ、U1〜U3はFMのプリセットチャンネル、U4はFMバンド(通常のダイアル選局スイッチ)、一番右端がロッドアンテナです。中段右側にある3個のつまみはそれぞれ、その上に位置しているU1,U2,U3用のプリセットボリュームです。このボリュームを回して受信したい局にあわせます。下段の大きなつまみは左側が電源スイッチ兼ボリューム、右側が選局つまみです。写真からも判るように、FM専用ダイアルとそれ以外(長波・中波・短波)のダイアルスケールが独立しており、ダイアル指針も独立して動きます。選局つまみは同軸構造になっており、内側がFM,外側が長波・中波・短波の選局つまみです。


・各方向から見た写真です。乾電池は底板をはずして装填します。ラジオの正面向かって左側には上から録音用端子、外部スピーカー端子、外部電源端子が用意されています。右側面にあいている穴は外部アンテナ端子です。



・取り出した中身です。ネジをはずすとすっぽりと取り出せるのがいいですね。日本製のラジオはスピーカが筐体側についていたり、半田付けされた線材を何本もはずす必要があったりと、簡単には取り出せない構造をしているものが多くて困ります。左上のアルミケースでシールドされているブロックがFMフロントエンドです。FM受信はバリキャップ(可変容量ダイオード)を使用することにより電子選局を行っています。バリキャップに印加する電圧を可変することにより希望の放送局を受信できるため、ボリュームを何個か用意しておくと、それらのボリュームからの電圧を切り替えることにより、瞬時に希望の局がえらべます。ヨーロッパのFMラジオに多くみられるプリセット選局方法です。左下についている2連バリコンは長波・中波・短波選局用のバリコンです。その上に小さく見えているのがFM選局用のボリュームです。ダイアル指針の動きに合わせてこのボリュームが回転します。



・アンプ部分がよく判るようにスピーカーを取り外したところです。(先ほどの写真と比べると180度向きを変えて撮影しています)スピーカーをはずした後に現れるのはアンプのブロックです。OTLアンプになっているので出力トランスはありません。



・セットをひっくり返して撮影しました。基板の左端がエッジボードコネクタになっているのがわかります。この基板は別のセットでも使用されているのでしょう。右上に見える茶色の基板には小さなトランスが載っていますが、これはDC-DCコンバター用トランスです。1石で発振させて整流・安定化を行い約20VのDC電圧を得ています。発振周波数は約32.5kHzでした(乾電池の電圧がドロップしてくると発振周波数は変化すると思いますが、出力電圧は安定化されているため一定に保たれます)。この電圧はバリキャップに印加する電圧の基準源になっています。



4. ITTのTouring International 104A
・西ドイツのITT Schaub-Lorenzで作られたトランジスタラジオ:Touring International 104Aです。このラジオは1974年前後に製造されていたラジオです。使用されているトランジスタは15石ですが、その他に7W出力オーディオアンプICやトランジスタ・アレイIC(トランジスタ5石に相当)なども使用されています。Internationalと謳っているだけあって電灯線で使用する場合には100Vから240Vまで使用可能、乾電池で動作させる場合には単1乾電池8本で、また、外部電源(12V)でも動作します。受信バンドは長波1バンド、中波、短波4バンド、FM1バンドの合計7バンドです。プリセットも3局可能です(FM2局と長波・中波・短波の内から1局)。



・後ろから見たところです。大きくTOURING internationalと刻印されています。


・スライドドアが2個付いており、右側のドアをスライドさせるとプリセットつまみが現れます。2つのグリーンのつまみはFM用、真ん中のブルーのつまみはLW/MW/SWのうちからどれかひとつのバンドの1局をプリセットできます。左側のドアをスライドさせるとジャック類が現れます。



・セット底面、電池蓋をはずしたところです。乾電池は単1を8個使用します。乾電池を含めるとラジオトータルの重さは4kgを少し超えます。結構重たいラジオですね。



・中身をケースから引き出したところです。リア側に付いている3本のビスをはずすとケースからそっくり引き出すことができます。本体の上部に1列に並んでいるのはプッシュスイッチ群です。一番右側のオレンジ色の表示があるスイッチは電源スイッチです。その左隣はライトスイッチで、乾電池や外部電源で動作させているときにこのスイッチを押すとダイアルスケールがきれいに光ります。電灯線で動作させているときには常にダイアル照明は点灯しています。ひとつ置いた左隣は外部入力に切り替えるためのスイッチ、その隣はL(長波)、その隣はMW、、、、という具合になっており、UとかかれているのはFMです。その隣の2個の緑のスイッチがリアパネルについているFMのプリセットつまみで設定したFM局を選ぶスイッチです。一番左側の青色(写真のものは少しはげていますが)はリアパネルのLW/MW/SWプリセットつまみで設定した局を選択するスイッチです。手前に見える3個の銀色のつまみはスライド式になっており、一番左がボリューム、真ん中が低音、右側が高音のトーンコントロールです。



・引き出した本体を正面から見たところです。2Wayスピーカーからは良い音が出ます。右下に電源トランスが見えます。



・裏側から見たところです。大きな1枚の基板に部品が取り付けられています。この基板は両面スルーホール基板です。



・リアカバーの左側のスライドドアを開けたときに現れる端子です。左端にあるのは電源入力コネクタ、中央上の丸いDIN端子は外部への入出力端子、右側の端子は外部スピーカー端子、下方にある端子は外部電源(12V)入力端子です。



・電源入力コネクタは3ピンになっており、100V系で使用するときには上と中央の2ピンを使い、200V系の電源で使うときには中央と下側のピンを使います。



・基板の表面です。左端の上部と下部にバリコンがあり、LW/MW/SWの選局をします。全く同じものが2個付いていて、片方は通常選局用、もう一方はプリセット用です。ずいぶん贅沢ですね。アルミ製の縦に長いシールドケースが3個ありますが、一番左側はFMのフロントエンドのモジュールです。なお、FMはバリキャップによるチューニングです。真ん中のシールドケースはFMの復調回路ブロックが入っています。右側のシールドケースはAMの検波ブロックです。モジュール化しているため部品点数は少なく見えます。



・スピーカーは楕円形のものと円形のツイーターが付いています。ヨーロッパのラジオは楕円形のスピーカーを用いたものが結構ありますが、みな良い音を出していますね。



3. Dansetteのラジオ:RT-111
・英国ロンドンのDansette Product Ltdで作られた6石トランジスタラジオ:RT111です。このラジオは1960年11月製のスタンプが押してありますが1959年から生産は始まっているようです。9Vの乾電池で動作します。MWとLWの2バンドラジオです。左上に白く見えるのが電源スイッチ兼ボリュームです。右上にあるのがバンド切り替えです。選局つまみは減速機構が付いており、透明リングを回すとその下の針が回転するようになっています。周波数が高いところでも減速機構が付いているおかげで選局しやすいです。



・後ろから見たところです。ケースは人工皮革のようなシートが全体に張られており、触った感触もよいです。真ん中より少し左上に見える端子は外部アンテナの端子です。




・内部の様子です。右側の基板が低周波アンプ部分、左側が高周波〜検波部分です。スピーカーにはELACと書かれたシールが貼付されていますが、ドイツのスピーカーで有名なELACとは別会社でしょうか??



・リアカバーです。リアカバーを含め、全体がプラスチックのような樹脂(プラスチックよりは硬そう)でできています。23.NOV 60というスタンプが押されているので、製造年月日でしょう。




2. HMVのラジオ:tropicana
・オーストラリアで作られたHMVのTropicanaです。フロントはダイカスト製でずっしり重く、そこに小型ながらパワーの出るスピーカーがしっかりと固定されています。大音量で鳴らしてもビビらないのはさすがです。1967年製です。この後、1968年にTropicana mk2が発売されています。15Vの乾電池で動作します。



・後ろから見たところです。ケースは人工皮革のようなシートが全体に張られており、触った感触もよいです。写真からは見えませんが、サイドにイヤフォンジャックがあります。




・リアカバーをはずしたところです。よくみると、出力トランスや段間トランスがありません。OTLアンプになっています。スピーカはインピーダンスが47Ωと書かれています。ちょっと特殊ですね。



・反対方向から見たところです。ダイカストパネルに基板やスピーカーがしっかり固定されているのがわかります。15Vのバッテリーが入手できないため3.7Vのリチウムイオンバッテリーを4個直列に接続して鳴らしています。非常にクリアーな音が出ます。野外で大音量で鳴らすと国産のトランジスタラジオで右に出るものはそう多くはないでしょう。


・リアカバーの内側に貼付してある回路図です。






1. HACKERのラジオ:SOVEREIGN 2 RP25Aです
・英国のハッカーラジオ( HACKER RADIO LTD )製のLW/MW/FM 3バンドラジオです。1960年代後期から1970年代初めにかけて製造されました。17トランジスタ、6ダイオード使用の高性能ラジオです。9Vバッテリー(PP9)を2個直列で使用します。8x5吋の楕円形スピーカーからは大きくてとても良い音が出ます。



・左側の大きなつまみが電源兼ボリュームコントロール、右端の大きなつまみが選局つまみです。下部の小さなつまみはBASS(左側)とTREBLE(右側)のつまみ、中央にある4個のプッシュスイッチは左側からLW(長波)、MW(中波)、VHF(FM)、FMの局間ミューティングの各ボタンです。また、ライン入力ジャック(最下段の一番左)、ライン出力ジャック(左から2番目)や外部アンテナ端子(最下段右から2番目)やイヤホンジャック(一番右端)も備えています。携帯音楽プレーヤーからの音を入力し、スピーカーから大きな音で楽しむことが出来ます。




・底部には回転座が付いており、ラジオをテーブルの上に置いた時、方向を容易に変えることができます。



・裏蓋を開けたところです。筐体は木製で、表面に人工皮革が張られています。バリコンはLW/MW用とFM用に独立しており、選局つまみと連動するようになっています。上部の右側がLW/MWのブロック、左側がFMブロックです。筐体下部(スピーカーの下方)に見えている小さな基板がオーディオアンプ基板です。OTLアンプになっています。



・シャーシーを取り出したところです。オーディオアンプ基板やスピーカーとはコネクタで接続されているため、半田ごてを使う必要はありません。バーアンテナが非常に長いです。長波を高感度で受信するにはこのような長さが必要なのでしょう。MWも高感度です。私の常用機であるICF-6800と比較したところ、本機のほうがはるかに性能がよく、聞きやすい音でした。弱電界の放送局受信時もICF-6800に比べノイズの質が上品で、耳障りな音がしません。こういったところは日本製のラジオも考慮すべきでしょう。



・シャーシーを取り出した後の筐体内部です。楕円形のスピーカーとアンプ基板が付いたままです。アンプ基板の両サイドに9Vの角型乾電池を1個ずつ設置するようになっています。



・外部入力ジャックが接触不良になり、プラグを抜いてもラジオ側に切り替わらなくなったため、修理することになりました。写真は取り出したジャックです。内部で接触不良を起こしています。



・ジャックをさらに分解し、接点を清掃、接触圧を少し強くし再度組み立て、修理完了です。また良い音でラジオが鳴るようになりました。


メールはjnkei@yahoo.co.jpへ

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