七欧無線のラジオ

6TP-107N

・七欧無線のものと思われる6石トランジスタラジオ:6TP-107Nです。正面左下、スピーカーグリルについていたと思われるプレートが取れています。縦型のポケットラジオで、同じような形のラジオは良く見かけます。大きさ的にはソニーのTR-86とほぼ同じでしょうか。

・内部の写真です。9ボルトの積層乾電池006Pで動作します。使用されているトランジスタは東芝製で2S52, 2S49, 2S53, 2S44が各1個、2S56が2個。ダイオードも東芝製の1N-60。ケミコンはエルナー製。バリコンはメーカー不明ですが25mm角の大きめのものが付いています。

・AF部分の拡大です。

・裏蓋の内側に貼付されている機銘板です。下部に手書きでNANAO RADIO Co と書かれています。輸出に際し、メーカー名の記述が必要だということで急遽手書きで対応したのでしょうか。

・実はVISCOUNTという名前のラジオがこの七欧のラジオとつくりがそっくりなので比べてみることにしました。左がNANAOの6TP-107N、真ん中はVISCOUNTの6TP-102、右側のラジオは同じくVISCOUNTのMODEL 602です。前面のパネルの格好は少し異なりますが、ダイアルやボリュームの位置はまったく同じです。

・NANAOの6TP-107N(左)とVISCOUNTの6TP-102(右)の内部を写したところです。基板レイアウトはまったく同じ、使っている部品もほぼ同じ、トランジスタやトランスの番号も同じです。同一のメーカーが作ったと思われます。VISCOUNTという名前は七欧がOEM用に付けていた名前なのでしょうか。あるいは別のメーカーがNANAOやVISCOUNT用にOEM供給していたのでしょうか。


・それぞれの裏蓋に貼付されている機銘板の写真です。6TP-XXXという名前の付け方は東芝製のラジオにも当てはまりますね。まさか東芝が供給していたということはないと思いますが。

20070811追記。

・その後、ラジオ工房の内尾さんから情報をいただき、通産省の作った、「日本のトランジスターラジオ工業」と言う本(昭和34年6月印刷)の左記の写真を送っていただきました。メーカーも判明し、また製造された時代も特定することが出来ました。ありがとうございました。


8TP-406
・スピーカーグリルにNANAOLAのバッジが貼付されている8石トランジスタラジオ:8TP-406です。多くのラジオが006Pという9Vの積層乾電池を使用するのに対し、このラジオは単3乾電池2本で動作します。経済的なラジオです。

・内部の写真です。トランジスタやダイオードはひし形のマークが付いたNEC製が用いられています。8石使用ということもあり、基板の密集度は高いです。

・基板を取り出したところです。選局つまみはバリコン軸上のプーリーとダイアル糸で結合されており、バリコンの軸を直接回すラジオに比べチューニングしやすい構造です。

・裏蓋の内側に貼付されている機銘板です。バッテリーの液漏れを防ぐため、バッテリーが弱ってきた場合、長期間使用しない場合、輸送する場合にはバッテリーを取り出せと注意書きしています。


8TP-902
・ナナオラの高感度8石トランジスタラジオ:8TP-902です。MW専用でありながら、高周波1段増幅つき。3連バリコンが付いている本格的遠距離受信用ポータブルラジオです。AM専用で3連バリコン付きのラジオといえばソニーのTR-84がありますが、このラジオは良く似たつくりになっています。

・後ろから見たところです。裏蓋を止めているネジをコインなどで回すと裏蓋が外れます。

・内部の写真です。単2乾電池を4本使用します。ロッドアンテナの長さも十分にあり、高感度、高S/Nに寄与しています。

・バリコン部分の拡大です。バリコンの軸に直接チューニングつまみが付いているように見えますが、減速ギアが付いており、つまみの回転が減速されてバリコンに伝わる仕組みです。微妙なチューニングも容易です。ソニーのTR-84も同じ機構が付いています。

・裏蓋の内側に貼付されている機銘板です。この機銘板によると乾電池は2個使いとなっていますが、印刷ミスでしょうか。

フロントのデザインを変えていろんなメーカーにOEM供給していたようで、手元にあるだけでも以下のようなモデルがあります。

・これはナナオラの別のデザイン。

・東芝にも供給していた模様です。当時はすでに東芝の資本が入っていたかもしれません。

・こちらはAFCOというプレートが貼られています。

・これはYORKというプレートが貼ってあります。

・あいにくプレートが取れており、セット内部に貼られているはずの機銘板もなくなっているため、モデル名は不明です。


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