このラヂオは2002年9月に修理したものです。コンドルMODEL360と機銘板にありますので田邊商店のラヂオだと思われます。昭和15年頃のものでしょうか。もう少し古いかもしれません。詳しい情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、教えていただけないでしょうか。(2002.09.29作成)

・今まで鳴っていたラジオが突然鳴らなくなったということで修理の依頼を受けたものです。前から見たところです。大きな傷は無く、状態は良いようです。

・後ろ側から見たところです。裏蓋もきちんと付いております。誰かが修理したとのことで内部も大変きれいです。オリジナルの状態に近いと思われます。電源コードは新しいものに変更されています。


・商標やモデル名が記載されたプレート(左)と定格が表示されているプレート(右)です。



・シャーシを筐体から取り出したところです。スピーカーがシャーシー本体に付いているため取り出した後の動作確認や調整が楽です。電源スイッチもシャーシに付いていれば申し分ないのですが、これだけは筐体の左側面に付いており、筐体からシャーシを完全に取り外すにはスイッチをはずす必要があります。



・シャーシー内部を見てみました。修理されたあとがわかります。当時の並四ラヂオは部品点数が非常に少ないのが特徴です。コンデンサはブロックコンが1個とグリコンぐらいのものでしょう。抵抗も数えるほどしかありません。本機はブロックコン(多分ペーパーコン)が容量抜けしたためか、あるいは何らかの原因でハムが増えたためか、平滑用に円筒形のケミコンが追加されています。また、平滑用の抵抗として2KΩ/2Wの抵抗がパラ付けされる形で付けられています。これらのケミコンと抵抗は、オリジナルではチョークコイルが付いていたであろうと思われる位置に配置されています。付け替えられたACコードの処理が悪く、ミゼットバリコンにタッチしそうです。

まずは現物から回路図をおこしてみることにします。シャーシが広く、部品点数が少ないため、回路を追うのは比較的楽です。下図にその回路を示します。
平滑用のチョークコイルが削除され、替わりに2kΩ/2Wの抵抗が2本パラ付けで用いられています。また、新たに20uFが2個入った筒型ブロックケミコンが追加されています。初段の段間トランスに供給する+B電源のフィルター抵抗に230kΩという高い値の抵抗が用いられています。これではプレートに十分な電圧が供給できません。再生・検波管にUY-56が用いられていました。ソケットには27Aと刻印されているのでオリジナルは27Aでしょう。ただし、56でも動作はします。

・修理開始
全ての真空管を抜き取ったあと、電源トランス1次側とシャーシ間の絶縁度をチェックし、通電。トランス2次側の出力電圧をチェック。特に問題なし。通電を継続し、特に問題の無いことを確認する。次に、整流管のみ挿入し、+B電圧をチェック。ところが思ったほど電圧が出ません。また、平滑回路のパラ付けされた2kΩの両端に電圧が生じています。整流管以外ははずしてあり、無負荷の状態ですから電流は流れず、電圧降下は生じないはずです。ところが、17mAも電流を消費しています。原因は元から付いていたブロックコンの絶縁度低下でした(あと付けされたケミコンはOKでした)。どうしてケミコンが後付けされたかを考えてみるに、経年変化でブロックコンの絶縁度が低下し、電流が増加。その結果、リップル電圧が増え、ブーンという音が大きくなる。また、チョークコイルに流れる電流が規定値をこえ、発熱し断線してしまう。その結果、チョークコイルは抵抗に置き換わり、リップルを抑えるためにコンデンサを追加した、と考えるとつじつまが合う。

・修理にあたり、オリジナルの形体は残したかったので、ブロックコンデンサは取り外さずにそのまま残し、使用しないリードはアースに落とすことにした。別に小型の10uF/400Vのケミコンを使用することにする。



・ケミコンを付け直し、抵抗も2KΩ1本とした。修理時に追加されていたケミコンに比べ、今回追加したものは形状が小型であるため、ずいぶんとすっきりした(このページ上部に掲載の修理前の写真と比較するとよくわかります)。また、ミゼットバリコンに当りそうだった電源コードもぐらつかないようにクランプしました。


・12Aを挿入し電源を入れたところ、ブーンという音はするものの、グリッドが+15ボルト程度になっています。電源を切り、真空管を抜き、段間トランスや12Aを調べましたが特に問題はありません。再度挿入し、よくよく見てみたら、グリッドにフィラメントがタッチしているではありませんか。通電するとフィラメントが膨張し、グリッドにタッチしていたのです(左の写真でフィラメントがずいぶんと左側に寄っているのをごらんください)。手持ちの12Aに交換し、問題解決。残りの真空管を挿入し、電源を入れると無事放送局を受信しました。ただし、初段のプレートには17V程度しか加えられていません(230kΩという高いフィルター抵抗が入っているため。上記回路図参照)。そこで22kΩに交換しました。ところが、交換するとハウリングを起こすようになりました。このセットはスピーカーがシャーシーに固定されている為、スピーカーの振動がモロにシャーシーにつたわり、ハウリングを起こしやすいのでしょう。56をオリジナルの27Aに交換したところハウリングは止まりました。真空管によってハウリングのおきやすさも変わるようです。グリコンが6MΩという高抵抗であったため、手持ちの1.7MΩのものに変更しました。 以上で修理は完了です。



修理が終わったコンドル:MODEL360です。

メールはjnkei@yahoo.co.jpへ

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