このラヂオは2003年1月に修理したものです。Silver_Model:53-B3と裏蓋に貼付してある回路図に書かれています。球の構成は発振混合が1R5、IF増幅が1T4、検波増幅が1S5、電力増幅が3S4という構成の4球スーパーヘテロダイン受信機です。発売時期や価格など詳しい情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、教えていただけないでしょうか。(2003.01.26作成)

・正面から見たところです。少し筐体にひびがありますが状態は良いようです。ただし、バッテリーを入れても動作しません。修理が必要です。尚、このラジオはフィラメント用に1.5V(単1乾電池1個)とB電源用に67.5Vの積層乾電池が必要です。現在では積層乾電池の入手が困難なため、外部安定化電源があると便利です。


・大きさを比較しているところです。後方にあるのはソニーのザ・イレブンです。シルバーのほうが手に取った感じ、すこし重たいです。




・左右のツマミ(右側に付いているのが選局、左側についているのがボリューム)と正面上部に付いているシルバーのエンブレムです。つまみはアルミの削りだし。文字は刻印してあります。エンブレムもなかなか丁寧に作られており、筐体にネジ止めされています。



・裏蓋をはずしたところです。なかなかコンパクトにまとまっています。上部に単1乾電池のホルダーが、右側に積層乾電池の収納場所があります。



・受信回路部分の拡大です。狭い場所に実にうまく抵抗やコンデンサを配線したものです。



・シャーシを筐体から取り出したところです。スピーカーもシャーシー本体に付いており、取り出した後の動作確認や調整が楽です。シャーシーとは言っても、アルミの1枚板をL型に折り曲げただけで、その折曲がったところに真空管やIFT,バリコンなどが所狭しと取り付けられています。大変狭いのではんだ付け作業が大変だったと思います。また、この状態でスピーカーを取り外したり取り付けるのは一苦労です。生産ラインではどのようにして組み立てたのでしょうか。


・不良個所を診断した結果、出力トランスの1次側が断線していることがわかりました。そこで、コイルを巻きなおすことにしました。コイルをほどく際に巻き数を数え、ほぼ同じ回数を巻けば修理は完了です。ほどいてみた結果、2次側は75回、1次側は約2700回でした。巻数比で行くと1:36です。したがって2次側のインピーダンス(スピーカーのボイスコイル)が8オームだとすると、1次側は36x36=10kΩとなり、電力増幅管の負荷抵抗=10kΩということになります。1次側には線径0.1mmのポリウレタン線をまきました。本当は1層ごとに絶縁紙をいれ、整列巻きにするのが理想ですが、数千回も巻くのは骨が折れるので、ガラ巻にしました。ただし、絶縁のことを考え、コアの端からは2mmはなして巻いています。また、巻きながら高周波ワニスを刷毛で塗りました。1次側と2次側は絶縁紙を入れて隔離、ワニスを塗ったあと、2次側は各層ごとに絶縁紙を入れた整列巻にしました。2次側は75回ですので3層で終わりでした。
・断線した出力トランス(左)と巻きなおしたトランス(右)です。外側には茶封筒を巻きました。高周波ワニスを塗って仕上げると、ほとんどオリジナルと区別がつかないくらいうまく出来上がりました(自画自賛です)。

修理後、組み立てが終わり、電源を供給すると元気にラジオが鳴り出しました。何よりも驚いたのは、音のよさです。アナウンサーの声がスパッと前に出てきます。大変聞きやすい音です。また、電源をいれて約1秒後には音が出るのも直熱管を使用したポータブルの特徴でしょう。
最後に、裏蓋の内側に貼り付けられてた回路図を下記に示します。


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