この電蓄は2002年8月に修理したものです。真空管ラジオのページから移動してきました(2002.08.31作成)

・我が家にやってきた電蓄、前から見たところです。前面下部に引き出しが2個ついており、レコードを収納できるようになっています。大きな傷は無く、状態は良いようです。


・上蓋を後ろ側から見たところです。膠で接着してあった桟と天板が剥がれてしまっています。ちょうつがいをはずし、上蓋だけを独立させ、接着面をぬれ雑巾できれいにした後、木工用ボンドをつけて組み立てました。



・上蓋の内側に貼られている商標。HAMOND_ELECTRIC_CO.OF_JAPANと書かれています。ギターアンプを作っていたあのハモンドと同じ会社でしょうか。ハモンドオルガンのハモンドはHAMMONDだったと思うので、別会社だと思います。



・裏蓋をはずしたところです。内部は大変きれいです。ラジオはアルミのシャーシーに組み立てられています。機銘板は付いていません。P.U.端子やアンテナ/アース端子にも特に名前がついておらず、各端子の機能がわからない状態です。ピックアップからのシールド線は上部から垂れ下がった状態でした。



・ターンテーブルをはずし、オートストップ機構の動作を確認しているところです。ピックアップをレコードの外周に近づけるとモーターに電源が入り、ターンテーブルが回転します。無い周までピックアップが来ると電源が切れて回転がストップします。



・スピーカーおよびモーターです。スピーカーはフィールドコイル(1500Ω)付きダイナミックスピーカーです。フィールドコイル、ボイスコイル、出力トランスとも異常なしでした。モーターも異常なし。オイル注入後ターンテーブルを回転させ、様子を見ましたがほんの少し温度が上がる程度です。



・ダイアル糸が外れていたので掛け直しました。ところがまたすぐに外れてしまいます。よくみるとバリコンプーリー、ダイヤルスケール両端の小さなプーリー、同調つまみの回転軸との相対的な位置が合っていません。バリコンのプーリー位置をスライドさせ、調整しました。



・シャーシーを上部から見たところです。使用真空管はマジックアイを含めて8本です。構成は、6D6(高周波増幅)、6WC5(周波数変換)、6D6(中間周波増幅)、6ZDH3A(検波、増幅)、76(ピックアップ信号増幅)、42(電力増幅)、80(両波整流)、6E5(同調表示)といった具合です。電源トランスの上部にTransformer HAMONDというアルミの板が貼られています。バリコンをまわしてゆくと、羽が6D6のシールドケースに当ってしまいます。バリコンを止めているゴムが弾力を失い、バリコンが傾いたせいでしょう。これも手直し。



・シャーシー内側の写真です。この写真ではわかりづらいですが、部品の汚れが少なく大変きれいです。先ずは目視チェックから。よく見ると、抵抗が1本焼けています。焼けていた抵抗はIFTのB端子に加える電源のフィルター用の抵抗(3kΩ)で、抵抗を出た直後のデカップリングコンデンサ(0.1uFのペーパーコン)がショートしていたのが原因でした。ペーパーコンデンサは絶縁度が低下しているものがほとんどなので最新のフィルムコンに交換したほうが無難です。




・実体配線から回路図を書き起こしたのが上の図です。定数的に少し納得いかないところや、私ならこうするというところもありますが、特に手を加えた様子も無いので、多分、オリジナルのままだと思います。回路を見ながら、交換すべきコンデンサを特定します。カップリングコンデンサおよび1次−シャーシ間に入っているコンデンサは文句なしに交換です。後者のコンデンサはラインバイパス用の認定を取得しているものを使う必要があります。これが入手できない場合には、はずした状態のままでもOKです。あまり支障はきたしません。抵抗は値をテスターで測定し、表示値と大差ないか調べます。1〜2割程度の誤差ならほとんどの場合使えます。トランスのチェックをしたあと、真空管を全て抜いた状態で通電、各端子の電圧を測定します。今回特に問題はありませんでした。部品交換後、真空管を挿入した状態で通電。すばやく各部の電圧をチェックし、異常の無いことを確認。ちょっとハムが大きいようです。フィールドコイルを出たところのコンデンサ(10uF)にパラ付けする形で22uFを追加。ハムはほとんどなくなりました。


・修理が終わり、音出しをしているところです。マジックアイも幸い劣化していなく、緑の蛍光体がきれいに光ります。



・電蓄もOKです。上蓋を閉じるとターンテーブル横のランプが自動的に消える仕組みになっています。



・愛用の蓄音機と並べたところです。大きさは蓄音機の1.5倍程度です。今回の修理は、電気的な修理よりも、筐体の修理、メカ的な手直し、調整に結構時間が取られました。交換した部品はペーパーコンが10個、抵抗が1個でした。取り外したペーパーコンの絶縁度をチェックしたところ、私のテスターで10MΩを割っているものが大半でした。テスターをΩレンジにし、コンデンサの両端のインピーダンスを測定した時、良質のフィルムコンは1秒程度でOVERとなります(39.99MΩまで測定できます)が、はずしたコンデンサは10秒待っても10Mオームに達しないものが大半でした。



・交換したペーパーコンと抵抗です。ペーパーコンは絶縁度が低下しているためそのままでは再利用はできません。ただし、表面のペーパーは剥がして別のフィルムコンに巻きつければ、他のラジオをレストアするときに使用できますので、すぐには捨てないでとっておいたほうが良いでしょう。


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