・1960年3月に14300円で発売されたトリオのレシーバーHF-11です。マジックアイを含め7球です。使用球は6BE6,6BD6,6AV6,6BM8(2本),6CA4,6E5という構成です。6AV6で検波、低周波増幅したあと6BM8を2本を用いたプッシュプル構成(トーンコントロール付回路)となっています。フロントパネルにはTRIOと書かれていますが、リアパネルにはKASUGA RADIOという機銘板が貼られているので、まだ春日無線といっていた頃のものでしょう。現在はケンウッドという社名になっております。



・マジックアイです。他の真空管がMT管(ミニアチュア管)であるのに対し、唯一のST管です。マジックアイにもいろいろ種類があるようですが、この6E5はもっともポピュラーな球でしょう。現在秋葉原あたりでは1本800円前後で売られています。長時間使用していると、グリーンの蛍光面の発光能率が落ちてきて、やがて光らなくなります。フリーマーケットで購入する5球スーパーに付いているマジックアイは輝度が落ちているものがほとんどです。


・ファンクションスイッチの拡大です。機能としては、短波、中波(シャープ)、中波(Hi-Fi)、AUX、PHONOとなっております。IFT(中間周波数トランス)の帯域を変えることによりAM受信時の再生帯域をシャープとHi-Fiに切替します。隣接局からの混信がひどいときにはシャープに、日中の混信がないときにはHi-Fiにすることでより広帯域の音楽が楽しめます。


・背後から見たところです。スピーカー端子は、4Ω、8Ω、16Ωの各端子があり、インピーダンスの異なるスピーカーに対しても最良の状態で聞けるように配慮されています。


・機銘板のアップです。Tri Amplifierとかかれております。


・出荷時に付けられていた検査表です。セットのシリアル番号や検査した人の検査印が捺されています。また、裏側にはこのセットは大変熱くなるが心配ないということが記載されています。


・内部の写真です。出力トランスは1次側が断線していたため、タンゴのトランスと交換しました。断線していたトランスを分解したところ、1次側と2次側を交互に巻くという大変複雑な構造をしておりました。写真に残しておけばよかったのですが、これを修理したのはホームページ作成のかなり前(1991年)でしたので、修理の記録はありません。手前に見える3本の真空管のうち左側の2本が6BM8、右側の1本が整流管の6CA4です。当時、本機を修理するためにケンウッド(既にこの頃にはトリオからケンウッドに社名変更されていました)のサービスステーションに回路図をコピーさせてもらいに行き、実機と見比べたところ、回路図とかなり異なっていることに気付きました。


・シャーシの内部です。この写真は後期のものです。カップリングコンデンサが一部変更されていますが、部品配置は原型をとどめています。


・トランスを交換する前(左)とタンゴのトランス:U13-5に交換した写真です。トランスの1次側の線材は2重絶縁線を使用し、シャーシー穴との接触による被覆の傷みから線材を保護しています。


・左図がコピーさせてもらった回路図の一部分(トーンコントロール回路)ですが、実機とだいぶ違うようなので,ケンウッドに再度確認をとったところ、生産当初は下図のような帰還形トーンコントロールを採用していたが、効きが悪いので途中から変更したとのことでした。私のセットは変更前のものであったようです。

・こちらが帰還形トーンコントロール回路です。修理後、動作をさせて見ましたが、やはりトーンコントロールの効きが悪かったため、上記の回路に変更してしまいました。それにしても、ケンウッドになっても、春日無線時代の回路図を履歴も含めて良くここまで保存していたものです。さすがですね。ちょっとうれしくなりました。

・サービスマニュアルに書かれていた定格です。

先日、回路図を希望する方がおられましたので下記にUPしました。1991年にケンウッドのサービスステーションでコピーさせていただいたものです。上にも書きましたが、私の知る限り少なくとも2種類はあります。



メールはjnkei@yahoo.co.jpへ

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