EFM-117J
・EFM-117Jです。江崎ダイオードを用いた、7石3バンド(FM/SW/MW)トランジスタラジオです。1964年8月、定価20000円で発売されました。デザインの優れたラジオの一つでしょう。EFMのEはエサキダイオードの頭文字。単2乾電池4本で動作します。この写真だけでは大きさの判断が付きにくいかもしれませんが、筐体の横幅は単2乾電池4本分プラスαですので結構大きなラジオだということが想像できると思います。


・右斜め前から見たところです。手前に見えるつまみはチューニングつまみです。大きくダイアルを動かす場合は内側の細いつまみで操作し、SWの微妙な選局には外側の大きなつまみの部分を持って回転させるとチューニングしやすいです。


・左斜め前から見たところです。手前に見えるつまみは外側のリングがボリュームコントロール、内側がトーンコントロールです。左サイドのジャックは上から外部入力、REC OUT、MPX OUT、下の2個はイヤフォン端子です。


・上から見たところです。左側のプッシュスイッチは電源スイッチ。右側の4個のスイッチは左側からMW、SW、FM、FM LOCALです。


・後ろから見たところです。取っ手に沿うようにロッドアンテナを収納します。取っ手の両サイドはダイカスト製と思われ、大変しっかりしています。アンテナを伸ばしたら85cmでした。長いほうでしょう。下部に電池ボックスがあり、銀色のつまみをスライドさせて蓋をはずします。


・リアカバーをはずしたところです。測定器ではないかと思うほどきれいに配置され、しっかりとシールドされています。バーアンテナも十分長いです。AM、SWは一般的なポリバリコンを用いた選局方式ですが、FMチューナー部にはバリコン方式ではなく、コイルを可変する"ロータリーディスクチューナー”式と呼ばれる選局方式をとっており珍しいラジオです。2年間の試作期間を経て誕生したとソニーの雑誌:ES Reviewに書いてありました。


・別の方向から見たところです。手前が電池ホルダーです。この電池フォルダーをはずしてみると。。。。次の写真のように水銀電池があらわれます。


・2.6Vのソニー製水銀電池です。残念ながら完全に放電しており電圧は0Vになっています。この状態でもMWとSWは問題なく受信しますがFMは感度が悪いです。ここに2.6Vを加えるとFMの受信周波数範囲が移動し感度が少し上がります。FM受信時に動作するAFC(Automatic Frequency Control)回路のバリキャップに加えるバイアス電圧用の電源のようです。基本的にダイオードに逆方向に電圧を加えているため、電流はほとんど流れません。


・シャーシーを取り出したところです。ロッドアンテナへの配線、および、フロントパネルのダイアル窓の両端に付いているダイアルランプの配線をはずすと、シャーシーがごっそり取り出せます。右側中央に見えている金属の箱はFMフロントエンドです。この中にエサキダイオードも入っています。


・フロントエンドの内部です。このFMフロントエンドの特徴はLの値を変化させることにより選局していることです。黒っぽく見える円柱の周囲にまかれているのがコイルです。コイルの表面には摺動子が接触しており、コイルが巻かれた円柱が回転することによりコイルの長さが変化することになり、同調周波数や局発の発振周波数を変化させています。この摺動子はよく接触不良を起こします。そうなると、選局つまみを回す際にがりがりっという音が出るようになったり、ひどくなるとFMが受信できなくなります。


・リアパネルに貼付されている機銘板です。これによると、バッテリーは単2乾電池(UM-2)を4個使用することが明記されていますが、2.6Vの水銀電池に関しては触れられていません。この水銀電池の寿命はどれぐらいあったのでしょうか?資料をお持ちの方がいらっしゃいましたら情報をいただきたく、よろしくお願いいたします。


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