TRC-64です
・1957年(昭和32年)12月の発売です。翌年1月には社名を東通工からソニーに変更していますので東通工時代の最後のラジオになるかもしれません。19900円でした。国内より、海外での売れ行きがのほうがよかったそうです。乾電池で動作する時計つきの卓上型ラジオです。タイマー機能により、指定の時間にラジオの電源を入れることが出来ます。ラジオは単1乾電池3本、時計は単1乾電池を2本(並列接続)使用します。


・後ろから見たところです。右側に開いている穴の中に時刻調整用のつまみがあり、押しながらまわすことにより時計の針を動かします。上部の黒い2個のターミナルはアンテナとアース端子です左下部にあるジャックはイヤフォンジャックです。



・内部の写真です。リアカバーの内側に乾電池ホルダーが付いています。左側の3個がラジオ用です。右側には本来、2個のホルダーが付いていたのですが、ぼろぼろになっていたため1個は取り外してしまいました。この2個のホルダーはパラレル接続されているので1個でも時計は動作します。



・リアカバーの内側に貼付されている機銘板です。社名がソニーとなっているので1958年に製造されたものでしょうか。東京通信工業となっているものがあれば貴重でしょう。



・こちらは時計用の電池に関する注意喚起のシールです。6ヶ月に一度は取り替えるようにと書かれています。電池駆動の時計つきラジオは、電池切れで時計が止まったままになった状態で放置された結果、電池の液漏れで端子が腐食したものを多く見かけます。本機もそうでしたが。単1乾電池2個をパラ接続で駆動しても6ヶ月しか持たないというのは今から考えると大飯食らいの時計といわざるを得ません。動作電流を測定したところ、1mA程度です。単1乾電池の容量を2.5AH(アンペア・アワー)とすると2個で5AH、1mA消費すると5000時間持つことのなるので7ヶ月弱。6ヶ月で交換というのはまあいい線でしょう。
「電池を入れても時計が始動しないことがありましたらキャビネットごと軽く揺するかまたは時計用電源(電池2個)を二、三度断続してください」とも書かれています。確かにテンプが回転し始めるきっかけが必要でしょうね。


------以下は本機を修理したときの写真です------


・入手したときの内部の様子です。時計は動作せず、ラジオも音声ですでした。時計用乾電池ホルダーは液漏れのため、ぼろぼろになっており、取り替える必要があります。



・取り外したバッテリーホルダーです。鉄板がぼろぼろになっており、少し力を加えただけでぼろぼろと砕けてしまいました。幸い、同じ型のバッテリーホルダーが1個だけ見つかったので、付け替えることにしました。最近のアルカリ電池であれば容量も大きいので1個でもある程度の期間動作するのではと思います。現在、アルカリ電池でどのくらい持つのかテスト中です。



・取り出した時計のブロックです。短針と長針の先端に蓄光塗料が塗られており、電気を消したあとも数時間光り続けます。5分間隔の表示も蓄光塗料です。



・後ろから見たところです。JAPAN ELECTRIC CLOCK CO. LTD製のもので、MOTOR CLOCKとかかれています。動作しない原因は経年変化でギアの部分に付着したごみでした。掃除した結果、動作するようになりました。コチコチと動く音が結構うるさいです。



・ラジオのブロックです。スピーカーと一体になったシャーシで、ブロックごと取り外せます。トランジスタはすべて扁平型です。ケミコンは日本ケミコン製、フィルムコン(ペーパーコンかも)はNCC製、スチロールコンデンサは富士電機製のようです。



・正面から見たところです。スピーカーは12cmのダイナミックスピーカーです。二つあるつまみのうち左側が選局つまみ、右側がボリュームです。音が出ない原因はプリント基板上のパターンが一箇所腐食して切れていたのと、スピーカーのボイスコイルがコーンから端子に引き出すところで切れていたためでした。これらを修理して、音が出るようになりました。



・臓物を取り出したあとのキャビネット内部です。



・回路図と部品表です。修理の参考にしてください。


メールはjnkei@yahoo.co.jpへ

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