このページでは手持ちのアンプ、修理したアンプなどを紹介しています。( 2013.02.25更新 )


5.TRIO KA-7300 ( 2013.02.25 )
・トリオ(春日無線電気商会、のちにトリオ商事>ケンウッド>JVCケンウッド)のプリメインアンプKA-7300です。1975年に65000円で発売されています。友人からの修理依頼品です。症状としては、右チャンネルから不定期にノイズが出るのと、ボリュームを回したりボリュームに触るとガリガリという音が出るというものです。

・天板をはずしたところです。この状態で通電し、先ずは症状の確認です。確かに右チャンネルから不定期にパルス性のノイズが出ています。ボリュームを絞ってもノイズのレベルが変わらないため、ボリューム以降のブロックでノイズが発生しているようです。

・スピーカー端子にオシロをつないでノイズが発生しているときの波形を撮りました。パルス性のノイズが発生しているのがわかります。ノイズレベルとしては十分耳障りなノイズです。

・写真はトーンコントロール基板です。矢印で示すトランジスタがノイズを出しています。左チャンネルからはノイズは出ていませんが、左右のバランスをとるために左チャンネルの該当するトランジスタも交換します。

・取り外したトランジスタです。ノイズが発生するトランジスタのコレクタ・エミッター間をテスターで当たったところ、本来なら無限大に近い値を示すはずが、メーターの針がふらふらと動いていました。これではノイズが出るはずです。

・交換し終えた基板です。ところで、このアンプは左右独立電源を謳っていますが、この基板に接続されている線材は全部で6本(電源、グランド、右チャンネルIN、左チャンネルIN、右チャンネルOUT、左チャンネルOUTの計6本)です。つまり、この基板の電源は左右独立していません。どこから電源を取っているのでしょうね。

・ボリュームを回したり、触ると左右のスピーカーからガリガリという音が出ます。古いボリュームでガリが生じることがありますが、その原因はボリュームの摺動接点の接触不良により発生しているのであり、今回のガリはその類ではありません。原因はボリュームカバーがグランド(シャーシ)から浮くことがあるためでした。本来ならしっかりとグランドに落ちていないといけないのですが、接触不良を起こしているようです。

・カバーが確実にグランドに落ちるように線材を追加しました。これで、問題なく動作するようになりました。




4.POWERED MIXER( 2013.01.04 )
・パワードミキサーです。11チャンネルの入力をミキシングすることができ、100W+100Wのパワーでスピーカーをドライブできます。電源が入らないので見てみました。

・後ろから見たところです。電源電圧は100Vで動作する仕様です(スイッチを切り替えると220Vでも動作させることが可能)。電源スイッチも背面にあります。スピーカー端子(右と左出力)は2極標準ジャックです。

・部品はすべてフロントパネルとリアパネルに固定されており、筐体の上下に固定してあるねじをはずすとこのように外れます。上の基板が電源とメインアンプ部分です。この基板からフロント側の基板に電源(+48V, +15V, -15V)を供給し、フロントパネルでミキシングされたオーディオ信号を受け取り電力増幅します。下側の基板がフロントパネルの基板です。11チャンネルのミキサーなのでボリュームの数がやたら多いです。

・見たところ、電源を供給しているフラットケーブルが切れているか、あるいは一部ショートしている可能性があります(赤い矢印で示すところ)。本来なら、4本のフラットケーブルの順番通りに基板にマウントするように設計すべきところ、何かの間違いで基板側の信号の順番と、フラットケーブルの順番が一致していません。そのため、基板に接続する箇所で順番を入れ替えるためのややこしい配線を行っており、線材が切れたりショートしないように白色のシリコンボンドで固定してあります。この部分が怪しいです。

・基板に挿入している部分の拡大写真です。これでは切れていたりショートしていてもわかりません。

・配線をしなおすために線材をはずし、固定していたシリコンボンドを取り除いたところです。

・フラットケーブルの先端に2mmピッチのポストを接続し基板に半田付けすることにしました。この方が切れにくく、ショートもしないでしょう。

・ポストを基板に半田付けしたところです。このあとケースに組み込み動作確認したところ、うまく動作するようになりました。めでたし、めでたし。




3.MARANTZ 250M
・マランツのステレオメインアンプ:Model 250Mです。1971年から5年間ほど製造されています。アメリカ製。8Ω負荷で125W+125Wとなっています。メーターの下方に位置しているつまみはボリュームではなく、レベルメーターの感度切り替えスイッチです。電源スイッチは無く、コンセントにACプラグを差し込むと電源が入ります。また、ボリュームも無いので扱いには注意が必要です。

・後ろから見たところです。電源電圧は100Vで動作する仕様です。このセットのシリアル番号が30021となっていますので、日本仕向け用に作られた21番目のセットなのでしょう。ヒューズは8A/250Vが入っています。

・ウッドケースから取り出したところです。ウッドケースはもともとオプションで売られていたようです。天板にも100V用にMODIFY(変更)したと書かれた赤色のプレートが貼付されています。安全にはうるさいアメリカだけあって、このほかにもあちこちにコーションが書かれています。

・右側面の写真です。右チャンネルの出力段のパワートランジスタがヒートシンクに取り付けられ、厳重に覆われています。ここにも覆いを取り外すなと書いたコーションが貼られています。トランジスタは2個ずつペアで使用しています。

・天板をはずしたところです。大きな電源トランスが目を引きます。このトランスはワールドワイド対応となっており、1次側の結線を変えることにより、100V/120V/220V/240Vと変更できるようになっています。

・左右それぞれのヒートシンクに基板が取り付けられています。左右とも同一基板を使用しています。ヒートシンクとシャーシを留めているネジを数本はずすとこの様に分解でき、メンテナンス性は良いとおもいます。音が全くでないためチェックしているところです。

・リア部分に付いているリレーです。このリレーがアンプ基板とリアのスピーカー端子の間に入っていて異常時にスピーカーを切り離す役目をしています。今回音が出ない原因は右チャンネルの基板からの出力にDC電圧が乗っており、それが原因でリレーがONしないためでした。原因を突き止め、出力にDCが出ない様にすればリレーがONして音が出るはずです。 。

・回路を当たっていったところ、どうも入力付近のトランジスタが死んでおり、その結果バイアスがずれて、結果的に出力にDC成分が現れたようです。死んでいると思われるトランジスタをテストしているうちに、トランジスタが復活してしまいました。ベース・エミッター間をショートしていたウィスカーがチェック時の電流で切れたのでしょう。パワートランジスタが壊れていなくて幸いでした。ともかく音が出て、メーターも振れたので様子を見ることにします。




2.MA-265
・ソニーの小型モニターアンプ:MA-265です。業務用のアンプだと思います。全体が金属で覆われており頑丈に作られています。上部左側にあるつまみが電源スイッチ兼ボリューム、その隣のスライドスイッチはFLATとTAPEとの切り替えスイッチで、TAPEにするとNAB特性になるようです。

・左サイドについている入力ジャックと外部出力ジャックです。

・内部の写真です。単3乾電池4本で動作します。

・基板を拡大しました。業務用だけあって丁寧に作られています。抵抗1つ1つにチューブがかぶせてあります。

・リアカバーの背面に貼付されている機銘板です。昭和34年製です。まだ古いロゴが使用されています。

・革の付属ケースに入れたところです。KRCというシールが貼られているところを見ると、今はなき国際ラジオセンターで使われていたものかもしれません。




1.TA-1120F
・ソニーのプリメインアンプ:TA1120Fです。1969年10月に148000円で発売されました。何年か前、私はこれを石川町のジャンク屋で3000円で入手しました。かなり安価でしたが、理由は片チャンネルが壊れていたためでした。




・どうもトランジスタQ701が不良のようです。これはパワーアンプ段の初段の石です。左右のバランスをとるためもう片チャンネルの石もはずしました。JRCのトランジスターで品名は2SA621でした。金属ケースに入った金メッキリードのトランジスタです。


・よく見ると不良だったほうのトランジスタには穴があいています。この穴は見たところ経時変化であいた穴ではなく、もともとあいていたようです。製造工程で生じた欠陥だろうと思います。本来密閉すべきところ、穴があいていたため、製造直後は特に問題にならなかったが、時とともに内部が空気に触れ、トランジスタが劣化してしまったのでしょう。ソニーサービスでトランジスタを入手しようとしましたが、このトランジスタは既に在庫がなく、代替部品としてリストに登録されているNECの2SA968Bに交換しました。1個220円(1991年8月時点の価格です)でした。こちらはプラスチックモールドのトランジスタでもちろん足も金めっきは施されておりません。こちらに交換したところ、バイアス調整用のボリュームをまわしきっても調整ができません。hfeがかなり違うためでしょう。仕方が無いのでバイアス抵抗の値をずらすことにしました。現在では問題なく動作しております。


・ソニーのチューナーST5130と組み合わせたところです。


メールはjnkei@yahoo.co.jpへ

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