4.ソニーの電卓SOBAX ICC-350(2022.05.06作成)
・知人からいただいたソニーのポ―タブル電子計算機SOBAXです。取説によると「SOBAXはSOLID STATE ABACUSを語源として作られたソニー電子式卓上計算機の商標です」とあります。ソニーは1960年代後半から精力的に電卓を商品化していましたが、本機は1970年代に入ってからの製品でソニーが電卓から撤退する間際の製品のようです。電卓の歴史に関しては外部リンクの電卓博物館が詳しいです。
・各部の名称です。詳しくは外部へのリンクになりますがここから取説が得られます。
・本体底部のつまみ(取扱説明パネル)を引き出したところです。本機には√(ルート)キーやΣ(シグマ)キーが付いており、これらのキーを使った計算例が載っています。
・表示桁数が16桁あります。16桁表示できればほとんどの場合困らないでしょう。写真の数字は1234兆5678億9012万3456という数字を表しています。1200兆と言えば最近財務省が盛んに騒いでいる国の借金(政府の国債発行残高)に相当する額です。本機ならまだギリギリ表示可能な額ですね。
・底板を外して内部を見たところです。見えている基板はメイン基板です。線材の処理がきれいですね。
・上側のカバーも外して内部を見ています。
・キーボードの基板を外すとメイン基板が見えるようになります。
・メイン基板は両面基板になっているのですが、部品面(A面)とパターン面(B面)を接続するのに銅スルーホールを使わずにピンを穴に差し込んでその両端を半田付けすることによりA面とB面を接続しています。基板の材質が紙フェノールもしくは紙エポキシのようで銅スルーホールを形成するのが困難だったのかもしれません。
・表示素子部分です。ニュープラニトロン管が使われています。近くにマウントされているケミコンをみると350V耐圧のものが使われているので、この素子にはかなりの高圧が加わっているのでしょう。
・ニュープラニトロンの拡大写真です。一般的な表示素子は数字を表すのに7個のセグメントを用いていますが、本機は8セグメントで数字を表示しています。「4」を表示するときにだけ点灯するセグメントがあるのです。ソニーのエンジニアが表示品質にこだわったのでしょう。
・確かに独特の字体ですが認識しやすいですね。
3.マツダ(東芝)の電気時計(2005.06.11作成)
・オークションで入手したマツダの電気時計です。電気時計を落札するときには動作周波数に要注意です。関東なら50サイクル用です。入手時の写真(左側)をよく見ると文字盤の数字「12」の下に開いている丸い穴の中に表示板(赤色もしくは白色)が見当たりません。右側の写真は修理後のものです。電気が通電されないと(電気が切れると)このように赤色のマークが現れます。詳細は2.電気時計:Synchron(2005.05.21作成)を見てください。
・後ろから見たところです。左側の写真が入手時のもの。時刻あわせのつまみが折れています。陸軍端子を利用してつまみをつけました(右の写真)。これで時刻調整が出来るようになりました。
・内部の写真です。
2.電気時計:Synchron(2005.05.21作成)
・Synchronというトレードマークの電気時計です。ベークライトで出来た小型の時計です。文字盤の数字12の下の赤いマークが何のためのものかわからなかったので分解しました(一度、修理の際、分解したのですが、再度の分解になりました)。
・後ろから見たところです。右側のつまみが時計の針を動かすつまみ。左側のつまみは左右にほんの少しだけまわり、前面文字盤のマークが赤と白に変わります。
・背面にネジで止められている機銘板です。TOKIO ELECTRIC CLOCK CO.(東京電気時計、現在の(株)テクロック)により製造された時計です。TODEN ELECTRICAL SUPPLY CO.(東京電力?)に性能を保証された(GUARANTEED BY TODEN ELECTRICAL SUPPLY CO.)とあります。
・内部の写真です。
・文字盤をはずしました。
・ギアボックスの覆いを取り外しました。
・文字盤12の下に白いマークが出ているときです。赤白に分割された円盤が先端に付いた軸は他のギアとは独立しています。軸の途中に鉄片が付いており、通電しているときには、この写真のように駆動部の電磁石に吸い付いた状態を保つことが出来ます。
・文字盤12の下に赤いマークが出たいるときです。電気が供給されなくなると電磁石の磁力がなくなり鉄片の自重で円盤が回転し赤色を示すことになります。
・通電した状態で、後部に出ているつまみを回して白色が出る状態にセットしておくと、いったん停電すると赤色に切り替わり、停電があったことを示します。電気時計は商用周波数に同期しているため、結構正確ですが停電があると狂います。停電があったことを示すことで、時計が遅れたというクレームから開放されるという、メーカーの知恵でしょうか。
1.セイコーの乾電池式置時計(2004.04.8作成)
・SEIKO社の電池式置時計です。トランジスタークロック:TTSZ-167というシールが裏蓋内部に貼付されています。動作しないとのことで、修理を頼まれました。
・裏蓋を開けたところです。単1乾電池を2本使用します。左側の電池は時報用、右側の電池は時計用です。下部の3個のハンマーで棒リードをたたくことにより、時を知らせる仕組みです。現状、時計、時報とも動作しません。
・ギアを覆っているカバーをはずしてみました。電気的なチェックを行なったところ、ハンマーを動作させるモーター(写真右下に位置している)が回らないことが判明。原因は整流子の接触不良です。長期間使われなかったせいか、あるいは古いオイルが固まったためかもしれません。整流子を掃除することにより回転するようになりました。
・時計部分のチェックです。トランジスタ1石とトランス、コンデンサー、テンプ駆動用コイルからなるシンプルな回路が付いています。動作自体は問題ないようです。
・テンプの部分を拡大しました。上部にテンプが付いています。テンプの動きを回転に変えるガンギ車の軸のギアに緑青が噴いています(写真中央のギア)。これが原因でテンプがすぐに止まってしまうようです。掃除をすることにより時を刻むようになりました。時刻が来ると、心地よい和音で時を知らせてくれます。
メールはjnkei@yahoo.co.jpへ
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