・ICF110です。ソリッドステートIC11という愛称で1970年春発売されました。14800円でした。トランジスタ11石と低周波増幅用のICを1個使用しています。TFM110と比べると性能がずいぶんとよくなっております。外形はほんの少し大きくなりました。


・ケースから取り出した、黒くて精悍な本体です。当時のトランジスタラジオは今聞いても大変音が良く、また、長時間聞いていても聞き疲れしません。最近のラジオ、特にFMラジオは低域と高域のバランスが悪く(高域がきつすぎる)どうもいけません。


・チューニングメーターとダイヤルスケールの部分です。このメーターとダイヤルスケールの間にパイロットランプが配置されており、LIGHT釦を押すと、両方同時に照射されるという、大変合理的な構造になっております。チューニングつまみを回すと、ダイヤルフィルムが動き、スケール上の数字(周波数)を移動させて選局します。ユーザーにとっては大変見やすく、使いやすいのですが、構造は大変複雑。ダイヤルの糸かけも大変です。


・ダイヤル機構の図です。ダイヤル糸は2種類あり、一つはバリコンを駆動するためのもの。もう一つはダイヤルフィルムを駆動するためのものです。実に良くできていますが、複雑なのであまり修理したくない部分です。



TFM110と比べてみると性能が上がっていることがわかります。
                 性能比較  
               ICF110          TFM110F
最大感度(AM)   24dB/m(16uV/m)    32dB/m(40uV/m)
最大感度(FM)   -8dB/m(0.25uV)     -2dB/m(0.8uV)
となっています。


・ICF110の内部です。
プリント基板にはぎっしりと部品が詰まっています。AMラジオのバーアンテナが非常に長いです。左下に見える白い箱がバリコンです。かなり大きなものを用いているようです。



・調子よく鳴っていたラジオの音が急に小さくなってしまいました。最初はプッシュプルの出力トランジスタの片方がやられたのかと思いましたが実際はICが壊れたのでした。品名はCX-025で6ピンのDIPタイプICです。取り寄せるべくソニーサービスに注文しましたが既にディスコン、在庫なしでした。トランジスタの不良であればなんとか代替品が見つかるのもなのですが、専用ICが壊れた場合にはどうしようもありません(本機の場合、まだ集積度が低いICなのでディスクリートトランジスタ数石で置き換えるということもできそうではありますが)。とりあえず、現状のまま保存しておくことにし、数年たちました。修理を半分あきらめかけていたラジオでしたが、先日ICの等価回路を教えてくださった方があり、簡単な回路であったため、トランジスタを用いて代用回路を組みました。


・等価回路はトランジスタ3石、抵抗2本で成り立っています。ディスクリート部品で組んでももとのICと同程度の大きさで組めそうなので組んでみました。その様子は<ICをつくる?>に記載しました。無事のせかえることができ、息を吹き返しました。


メールはjnkei@yahoo.co.jpへ

・・・・・もどる・・・・・