2.ICをつくる? CX-025の代用品
ソニー製のトランジスタラジオでICF-XXXという品名が付いているラジオには何らかのICが使われているわけですが、そのうちの一つでオーディオ信号増幅用に使われているCX-025がたまに壊れていることがあります。このICが壊れているとスピーカーから音が出なくなったり、歪んだ音が出るようになります。このICはICF-110をはじめICF-111、ICF-500S、ICF-1100/1100D、ICF-5500/5500A、ICF-5800などに使用されています。サービスマニュアルをみると、内部回路(等価回路)が書かれており、集積度は高くないことがわかります。したがって、現在手に入る部品を使えばICが載ってたスペースに、その面積よりも小さくマウントできてしまいます。
まずはICF-500SのサービスマニュアルからCX-025付近を切り出したものです。
トランジスタ3石で構成されているのがわかります。
このICは6ピンのIDPタイプです。
下記の写真はICF-5500の基板の一部でCX-025が載っていた部分を撮っています。
この部分にチップトランジスタ3個と抵抗2個を載せたのが下の写真です。抵抗は手近にあった10KΩのチップ抵抗とリードタイプの抵抗を使いましたが2個ともチップ抵抗にすればもう少し省スペースになりますね。
なお、トランジスタは2SCの小信号トランジスタであればたいていのモノが使えます。hFEもそれほど気にすることはなく(100〜300あれば十分)、DC帰還がかかっているので抵抗値も適当で(10kから33k程度)よいとおもいます。私の場合、10kや33kなど手近なものを適当に使っていますが、くみ上げた後、各端子の電圧や過大入力時に波形がどのようにクリップし始めるかを見てOKとしています。
ところで、先ほどのIC内部の等価回路ですが、よく見てみると、3個使われているトランジスタのうちの真ん中のトランジスタはたんにエミフォロとして(最終段のトランジスタのhFE不足による入力インピーダンス低下を補うため)使われているだけなので、ディスクリートトランジスタでhFEがそれなりにあり、電流も数10mA流せる小信号トランジスタを使えばこのエミフォロはいらないように思いませんか?。
ということで、トランジスタ2本で回路を組んでみました。部品点数が少なくなったので、チップ抵抗を使わずともリードタイプのトランジスタと抵抗で、ICを抜き取った穴に差し込めば簡単に置き換えられそうです。
写真はICF-500SのICが載っている部分の写真です。
ICを取り外し、そこに抵抗1本とトランジスタ2本を挿入しました。
この方式で数台、CX-025を置き換えましたが問題なく動作しています。このとき使ったトランジスタは、たまたま手元にあった2SC2785とか2SC1740でhFEは200前後でした。抵抗は22kΩを使いました。
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