CRF-230Bです
・1971年9月に発売されたCRF-230Bです。WORLD ZONE 23Bと呼ばれています。定価は19万8000円でした。当時のカタログに世界最高級“ラジオの王様”とあります。WORLD ZONEシリーズの中ではもっとも大きな受信機ではないでしょうか。FM/SW/LW/MWの23バンド、48トランジスタ、32ダイオード。乾電池を含めると約14キログラムあり、堂々とした風格です。1968年にCRF-230が19万8000円で発売されましたが、3年後に230Bとなって、同じ価格で再登場しています。


・持ち運ぶときにはフロントのカバーを付けます。カバーの内側には上記写真のように世界の時刻がわかる地図が付属しています。


・本体カバーについているワールドゾーンのロゴです。これはなかなか格好が良いです。


・フロントカバーをつけた状態でCRF-230Bと320を並べて見ました。230Bのほうが少し大きく、また重たいです。さすが、ラジオの王様です。


・230Bと320を並べたところです。選局のしやすさやダイアル表示の読みやすさでは320のほうが上ですが、音のよさでは230Bも負けてはいません。2つのスピーカから出る音はなかなかのものです。


・後ろから見たところです。乾電池で使用する場合には単1乾電池を6個必要とします。


・リアカバーをはずしたところです。上部の木で出来た箱はスピーカーボックスです。左側の2本のアンテナがFM用、右側のアンテナが短波用です。調整箇所が非常に多いラジオです。


・SWフロントエンド部分の拡大です。昔のローターリー式チャンネルのテレビを思い出します。左側の銀色の箱の中にいくつものローターリースイッチが入っています。セットの左側面についているレバーを回転させ、このローターリースイッチをガチャガチャと切り替えて望みの受信バンドを選択します。


・フロントパネルをはずしたところです。3個のメインダイアルつまみをはずすには6角レンチが必要です。


・修理のためにケースから取り出したところです。取り出してみるとかなりコンパクトです。シャーシーにうまく取り付けられています。


・後ろから見たところです。バーアンテナが非常に長いです。長波も受信するためでしょうか。AMラジオの感度もよさそうです。


・底部の写真です。プリント基板上の抵抗の向きが一様ではありません。最近の電子機器は抵抗やコンデンサを自動挿入するため、方向は水平と垂直方向の2方向に配置します。当時は手挿入だったため、基板上の抵抗も自由な向きに配置できたのでしょう。この方が理想的なパタンに仕上げられるため特性も良いものが出来ると思います。


・整流回路の部分です。抵抗が焼損しています。プリント基板が焦げていなくて幸いでした。一般的な回路設計においては、ショート試験というものを行い、抵抗が赤熱する可能性がある場合にはプリント基板から浮かせるとか、ヒューズを挿入して、焦げたり煙が出る前に回路が遮断されるようにします。


・よく見るとパワートランジスタのモールドにひびが入っています。テスターであたってみたところ、端子間がショートしているようです。隣のトランジスタも同様です。この影響で上記の抵抗が焼損した模様です。


・取り外したトランジスタ。両方とも壊れていました。オーディオ出力回路のトランジスタです。別のトランジスタに置き換えました。これで無事音が出るようになりました。


SW帯の感度が悪いのと、目盛りがずれているので直すことにします。

・SWフロントエンド・ブロック、IFブロックを取り出しました。2つのプーリーが見えますが、一つは同調回路のバリコン用。もう一つは第2局発・第2ミクサー回路のバリコン用で、それぞれのプーリーがダイアル糸で連結され、セット前面の選局ツマミを回転させると連動して回転するようになっています。


・SWフロントエンド・ブロックのカバーをはずしたところです。テレビのロータリーチューナーより複雑だと思います。


・SWフロントエンド・ブロックの底面に位置しているマザー基板です。矢印て示すFETトランジスタはフロントエンドを構成しています。このFET(2SK23)が不良のようです。


・こちらはSWフロントエンドブロックと一体になっているIFブロックを取り外したところです。この状態で第2局発のカバーレンジ調整、第2IF周波数の調整を済ませます。


・SWフロントエンド・ブロック、IFブロックを取り外した後の本体部分です。矢印で示す部分がカップラーで、この部分でバンド表示部の回転をフロントエンドのローターリースイッチに伝達しています。


・不良箇所を直し、第2IFブロックの調整をした後、セットに組み込んだところです。この状態でSW帯の各バンドの第1局発周波数の調整、感度調整を行います。コアとトリマーの数を合わせると50個近くになり、この調整だけでも十分楽しめます。


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