・ソニーのST-5000Fです。
このチューナーは1969年に98000円で発売されたFM専用チューナーです。内部を見られることを意識してか各基板をシールドケースで覆っており、まるで通信機のようです。先日、このチューナーを修理する機会があったのでここに修理の記録を載せました。

・ソニーのST-5130です。
このチューナーは1971年3月に73800円で発売されています。少し小さめなチューニングつまみをくるっと回すとスケールの上を針がスーっと動いてゆく様は小気味よいものがあります。感触も抜群。バックラッシュも皆無に近く絶品です。電気的性能もさることながらメカ的性能がこれだけ良いと操作することが快感になります。本機の大きな特徴は 取説によると「世界で初めてのインパルス・ノイズ・サプレッサー付き」チューナーでしょう(最初で最後かもしれないが)。


・内部の様子です。手前左側にあるのがバリコンです。埃が入らないようプラスチックのカバーがしてあります。アンテナ端子に近いところにフロントエンドを持ってくるという理にかなった配置です。すべてディスクリートで組まれているため、使用しているトランジスタの数は50個以上、ダイオードも40個を超えています。


・フロントパネルには今ではお目にかかれないINSスイッチがついています。INSって何の略だかご存知ですか?
ところで、当時のアンプやチューナーのパネルの文字は掘り込まれているため消えることがありませんし、高級感があります。最近は印刷されているだけなので、下手にこすると文字が消えてしまうことがあります。


・この基板がINS基板です。INSとはインパルス・ノイズ・サプレッサーのことで、手入れの行き届いていないオート三輪や単車からのイグニッションノイズ(50年前にはそんな車がたくさん走っておりました)から発生するようなスパイクノイズを軽減する回路です。原理としてはスパイク状のノイズが来たとき、その区間一瞬音を小さくして目立たなくするものです。検出回路の時間遅れを補正するため、本線に下図のようなディレイラインをもうけて時間を遅らせています。


・上記ボードの中にある、LとCで構成されたディレイライン。


・ソニーのST-5150Dです。

・これは上記のST-5130からヘッドフォンアンプ回路およびINSスイッチ回路を削除したような構成です。


・内部の写真です。5130よりも簡素化されています。


・ソニーのST-5150です。

・上記のST-5150DからHi-Blendのスイッチ回路を削除したような構成です。一番ローコストモデルです。とはいえ、持った感じはずっしりと重たく、ラインアウトからは良い音が出ます。


・パイオニアのチューナーTX-710
TX-710です。このチューナーは大学生のときアルバイトをして貯めたお金で購入した最初の機器です。4万円を少し超える価格だったと記憶しています。アンプまで購入する資金がなかったのでアンプは自作でした。ラックスの15W級のPPトランスを購入して6BQ5ppステレオアンプを作りました。今では何万円もするトランスも当時は4000円程度でした。



・サンスイのチューナーTU666
知人が捨てるというので譲り受けました。このチューナーは1970年に33800円で発売されています。丸いダイヤルが特徴的です。サイズは横幅340mm、高さ140mm、奥行280mmと小型です。バリコンは5連(AM2連、FM3連)ですので中〜強電界用のチューナーといえます。

・チューニングメーターが上下に振れるのもめずらしですね。


・同梱されていた回路図です。



メールはjnkei@yahoo.co.jpへ

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